子宮筋腫リスク低下にはヨーグルトとカルシウムを! | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、筋腫リスクを軽減する食生活についての「Nurses' Health Study II」研究です。

 

Hum Reprod 2020; 35: 453(米国)doi: 10.1093/humrep/dez278

要約:1991〜2009年にNurses' Health Study II(NHSII)に登録した81,590名(25~42歳)の看護師を対象に、4年毎にFFQ食事摂取調査を行い、子宮筋腫のある女性8,142名とそうでない女性の食事を前方視的に比較しました。子宮筋腫の診断は超音波検査あるいは手術による摘出標本の病理検査で行いましたが、患者さんの自己申告になります。乳製品摂取が週2回の方と比べ、週4回以上の摂取で、子宮筋腫リスクが8%有意に低下しました。特にヨーグルトとカルシウム摂取で子宮筋腫リスクの有意な低下が認められました。

 

解説:子宮筋腫は極めてポピュラーな婦人科良性疾患であり、70〜80%の女性は閉経までに超音波検査で子宮筋腫の存在が確認されます。一方、乳製品には抗炎症作用と抗腫瘍作用があり、特にビタミンDには子宮筋腫増殖抑制作用があることが知られています。これまでに子宮筋腫リスクと食生活に関する論文が2編報告されています。イタリアからの報告では乳製品摂取と筋腫の関連は否定的ですが、米国黒人女性では乳製品摂取と子宮筋腫に負の相関関係を認めています。本論文はこのような背景の元に行われた研究であり、筋腫リスクを軽減する食生活としてヨーグルトとカルシウムが良いことを示しています。非常に興味深い報告です。

 

Nurses' Health Study IIについては、下記の記事を参照してください。

2019.9.29「☆大気汚染と流産リスク

2019.1.7「☆子宮外妊娠のリスク因子

2018.9.21「幼少期から思春期の虐待と子宮内膜症の関係

2018.4.29「フルーツで子宮内膜症予防?

2018.3.29「初潮の頃の大気汚染で生理不順?

2016.7.7「☆子宮内膜症の方は不妊になりやすいのか
2015.8.22「不妊症、妊娠治療と高血圧のリスクは?

2015.3.22「甘味飲料水と初潮の関係

2014.11.28「☆ニキビと内膜症の関係

2014.10.30「☆卵巣癌のリスクを減らす方法

2013.7.18「☆痩せすぎは内膜症になりやすい?