米国生殖医学会の機関誌であるFertility Sterilityの今月の特集は「不妊原因と子供の健康について」です。第1回目は「夫婦の年齢と子供の健康」についての論文をご紹介いたします。
Fertil Steril 2019; 111: 1036(スエーデン)doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.04.026
要約:世界的に晩婚化が進む現代の先進国の現状では、「夫婦の年齢と子供の健康」についての問題点が喫緊の課題です。現在までのデータをまとめると次のようになります。
疾患 母親年齢 父親年齢
高年 若年 高年 若年
ダウン症 ↑ ↑
先天奇形 ↑ ↑ ↑
心奇形 賛否両論 関連なし
口唇口蓋裂 関連なし ↑
腹壁破裂 ↑ ↑
神経管欠損 ↑ 関連なし
尿道下裂 賛否両論
食道閉鎖 ↑
小児癌 ↑ 賛否両論
白血病 ↑ 賛否両論
リンパ腫 賛否両論 関連なし
神経腫瘍 賛否両論 賛否両論
1型糖尿病 ↑ 賛否両論
喘息 ↑ ↑
脳性麻痺 ↑ ↑
神経発達障害 ↑ 賛否両論
自閉症関連 ↑ ↑
統合失調症 賛否両論 ↑ ↑ ↑
双極性障害 関連なし 関連なし
精神遅滞 データ不足 データ不足
解説:高齢の方のみがお子さんへのデメリットであると思われがちですが、逆に若年の方でお子さんへのデメリットになる疾患があることも忘れてはなりません。もちろん、本論文で紹介したデータの多くは疫学研究(統計)ですので、本当の意味で関連があるのかどうかについては定かではありません。
男性の加齢については、下記の記事を参照してください。
2015.10.21「☆男性の加齢が生殖に与える影響」
2015.6.28「☆男性の加齢に伴うお子さんの異常や疾患」
2014.11.11「男性の加齢による影響は?」
2014.5.30「父親の年齢は子どもの精子に影響するか」
2014.2.12「父親が高齢になると子どもの精子のテロメアが長くなる」
2014.1.13「☆男性の加齢→大きな胎盤→妊娠中のトラブル増加」