Q&A2225 子宮内膜増殖症でヤーズ内服中 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 27歳

半年前に子宮内膜増殖症(単純型)と診断され、現在ヤーズ配合錠内服中(5ヶ月目)
6ヶ月後に入籍予定、その後妊娠希望(相手32歳)

①子宮内膜増殖症(複雑型・単純型)と不妊の関連性はいかがでしょうか。
②例えば子宮内膜増殖が原因で不妊になる場合、一般的な治療法はどのようなものでしょうか。
③現在ヤーズ配合錠を内服しておりますが、妊娠を希望する場合、内服を止めるタイミングはいつが良いでしょうか。
④内服をやめた場合、デュファストンなどといった別の薬剤による治療を行うことで妊娠の可能性が高まるのでしょうか。それとも子宮内膜増殖症の治療に関する薬剤の内服をしない方が良いのでしょうか。
⑤子宮内膜増殖症である場合であっても、不妊治療をリプロで受けることは可能でしょうか。

尚、月経過多で輸血を行なったことがあります。現在の婦人科にかかりヤーズ配合錠を内服する前は、出血は比較的落ち着いておりました。

 

A 

①子宮内膜増殖症は不妊のリスク因子のひとつとされています。
②子宮内膜増殖が関与する部分は着床障害ですが、着床障害の治療は確立されていませんので、妊娠治療の進め方は一般の場合と同じになります。
異型を伴わない子宮内膜増殖症(単純型)は子宮体癌になることはまれですが、異型を伴う子宮内膜増殖症では約20%が子宮体癌になるというデータがありますので、治療は効率よく早めにステップアップするのが良いでしょう。
③ヤーズなどの生理を止める薬剤は、服用中止後3ヶ月は卵巣機能が回復しませんので、妊娠を希望する3ヶ月前に服用を止めるのが良いでしょう。
④妊娠治療の進め方は一般の場合と同じになります。子宮内膜増殖症の治療薬の多くは妊娠治療中に使用できませんので、
治療は効率よく早めにステップアップするのが良いでしょう。
⑤子宮内膜増殖症に限らず、他の婦人科疾患があってもリプロでの妊娠治療はできますが、疾患の定期検診は現在治療中の婦人科で診てもらうことが必要です。

 

下記の記事を参照してください。

2018.11.12「Q&A2010 ピル使用後の採卵は?

2014.3.15「Q&A281 先に採卵?はたまた移植?

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。