Q&A2088 不正出血に悩まされています | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 下記の不妊治療経歴を見て頂きたいのですが、ホルモンバランスの崩れなのか不正出血によるお休み周期ばかりでサクサク採卵や移植に進めません。この感じだと体外受精は1年に1回なペースです。急がば回れで地道に身体に付き合って行くしか無いのでしょうか。AMHも低めなので焦ってしまいます。何か良い方法や、やった方が良い検査があれば教えて頂けますでしょうか。

妻:36歳、BMI 26、脂肪肝。数年前から高血圧でアルドメット服用中(今は薬で安定中)、喘息持ちでパルミコートとスピリーバを使用中。20歳頃、不正出血が3ヶ月ほど続き初めて婦人科へ。子宮内膜症と言われてピルを数日服用し改善。その後30歳頃にも不正出血が続き婦人科受診。その時は特に子宮内膜症とは言われず。不正出血自体は前回と同じくピルで解決。しかしその際に、右側の卵巣近くに2〜3cmの嚢腫が2つ並んでいると分かる。嚢腫の中味は水分?らしく、特に悪さするものでは無いとのことで以来、定期的に経過観察(婦人科3箇所で見てもらいましたが皆経過観察で良いとの見解です)。

夫:34歳、BMI 23、病歴は無し。以前は喫煙していたが、不妊治療を期に禁煙。仕事などが忙しく帰宅時間が深夜。夕飯を遅く食べる。もともと痩せ型だったが、結婚後体重が増加。

〜 不妊治療の経歴〜
妻35歳の時、不妊治療専門クリニックを受診。AMH 1.9(1年前の数値)と分かり早めにステップアップをと言われ、2018年より体外受精を開始。クロミッド(毎日)+hMGフェリング(1日おき)にて採卵、採卵数3個(主人の奇形率が良くなかったため全て顕微授精)、培養3日目 3個とも8分割、培養5日目 2個胚盤胞に(3BC・4CC)、もう1個は途中で成長が止まる。最終的に凍結保存できた胚盤胞は1個(3BC)のみ(通っているクリニックは、全て胚盤胞に培養して、一度凍結保存し最低1ヶ月は子宮を休めてから移植する方針のクリニックです)。凍結胚を1周期空けてから移植しようと試みるも、5月、6月、7月と不正出血があり移植延期が続きました。念のため癌検診を行った結果、子宮体癌検査で引っかかり、少し大きな病院に紹介状をもらって調べ、組織診にて子宮内膜増殖症(異形では無い)と診断。異形では無いので経過観察で良いとのことで不妊治療継続。
ようやく採卵から約6ヶ月後の8月末に、少しびらんからの出血があるものの移植に進むことが出来ましたが、結果は陰性(BT14 HCG 0.5)。貯胚が無いのでまた採卵からということで意気込んでおりましたが、陰性後、リセットした生理がなかなか止まらずまたもや不正出血に。その後出血は1ヶ月以上続き、念のため再び癌検診を、今回は陰性の結果。止血剤(アドナ・トランサミン)を飲むが少し量は減るものの少量出血が続く。そこでプラノバールを12日間服用。すると今度は、ホルモンが減りすぎて?(FSH 0.96 mIU/ml・LH 0.53 mIU/m・E2 <5.00 pg/ml)カウフマン療法を開始。プレマリン10日間、ソフィアA11日間服用し、現在リセット待ちですが、プレマリンとソフィアA服用中も少量の不正出血は続きました。
気持ち的には早く、採卵に進みたいのですがなかなか身体が整いません。不正出血にいつも悩まされます。
この原因は内膜増殖症だからなのか、他に何か原因があるのか何も分かりません。これは気長にホルモンバランスが整うのを待つしか無いのでしょうか。ホルモン剤の影響なのかストレスなのか分かりませんが、更年期のような動悸、ふらつき、脱力感などの症状とも付き合いならが(自律神経系?)気長に待っている状況です。何か良い方法や、やった方が良い検査があれば教えて頂きたいです。

 

A 不正出血の原因は様々ですが、最も大きな要因は子宮内膜増殖症だと思います。しかし、現在良くなっているようですので、他の可能性も考慮する必要があります。子宮内膜ポリープや慢性子宮内膜炎の可能性を否定するために、子宮鏡検査とBCE検査をお勧めします。また、ホルモン剤でホルモンが減りすぎるのは、身体の反応が良すぎるからですので、ホルモン剤の使い方に工夫が必要だと思います。

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。