Q&A2059 卵管がない場合の初期胚移植は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 妻39歳 夫43歳、AMH 0.8
 

骨盤腹膜炎の為、37歳で両卵管切除し、結婚後すぐ顕微受精を2回しました。
①クロミッド誘発で3個採卵、胚盤胞1個を新鮮胚移植→陰性

②ショート法で1個しか取れず、3日目初期胚を新鮮胚移植→陰性

今後の移植方法に悩んでおります。AMHが低い為 一回に、取れる卵が少ないので初期胚移植を勧められる事が多いのですが、やはり卵管が無いと言う事で初期胚移植はやめた方がいいですか。また、2段階移植するとしても 初期胚を最初に戻すのは意味がないのでしょうか。

 

A 卵管がない方は胚盤胞でないと妊娠できないという卵管回帰説には、きちんとした根拠がありません。そもそも体外受精が開始した当初の適応は卵管因子(両側卵管閉塞や両側卵管切除後)のみでした。当初は胚盤胞へ育てる技術はありませんでしたので、全て初期胚移植でした。つまり、初期胚が卵管に戻ることなく妊娠していた訳です。つまり、卵管の摘出、閉塞、狭窄の場合に、初期胚(分割胚)で十分妊娠できることになります。

 

下記の記事を参照してください。

2018.5.13「Q&A1827 40歳、第2子希望

2018.2.23「Q&A1745 流産後、移植前の通水検査の意義は?

2016.2.12「Q&A998 妊娠できなくて毎日辛いです

2016.2.2「Q&A988 子宮外妊娠になった理由は?

2015.12.8「Q&A931 転院を迷っています

2015.10.31「Q&A871 卵管回帰説を信じた結果

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。