Q&A931 転院を迷っています | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 43歳4ヶ月、治療歴2年1ヶ月、採卵12回、移植4回
残された時間を今のクリニックで治療するか、転院をするか迷っています。この1年間では胚盤胞(卵管が片側閉塞の為、胚盤胞での移植になります)に到達するのは20パーセント位で空胞も毎月1つはある様な状態です。
1回目は化学流座(グレードC)
2回目は稽留流産(グレードB)
3.4回目(共にグレードB)は陰性
不育症専門病院で検査を行い問題はありませんでした。胚盤胞の凍結が3つありますが全てグレードC以下です。D3でのFSHは8~14、見える卵胞は3つが殆どです。
自然をメインでおこなっているクリニックですので採卵は自然かフェマーラ、高温期はピルを使って生理をおこす。これを繰り返し、この先の限られた治療期間をこのクリニックで続けていき出産まで辿りつく卵に出会える可能性にかけるか、または転院をするか迷っています。
また体外受精は今の病院でしか経験がなく、他の病院で治療をした事がない為知識も少ない状況で判断に迷い、松林先生のご意見をお聞かせ頂ければと思いご連絡をさせて頂きました。

A これまで結果が出ていませんので、転院を考えて良い時期だと思います。私なら、一度刺激周期をトライしてみます。
また、グレードが低いと妊娠しないというのも、卵管がないから胚盤胞しかダメというのも誤りです。ひとつのクリニックでの経験しかない方には、すでに常識のようにインプットされてしまっていることが、実は誤りであることがしばしばあります。そのような意味からも、一度違った目線から見てみる必要があると思います。

下記の記事を参照してください。
2014.9.3「☆胚盤胞のグレードと染色体異常」
2015.10.31「Q&A871 卵管回帰説を信じた結果」