Q&A2024 娘を心疾患で亡くしました | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 第一子を顕微授精でさずかり43才で出産しました。重度の心臓疾患があり手術を繰り返し頑張りましたが、1歳11ヶ月で亡くなりました。私の身体は一時は生理がとまる程痩せましたが現在はジムで身体を動かし今は体調は回復しました。不妊治療している為に自分の身体を気遣う事ができる様になりました。娘の染色体異常はありませんでした。
 

46才になりますが不妊治療を再開しました。低刺激性で採卵した結果、凍結卵はBBと2.5グレードのものが2つです。主人は今年50才、精子は運動率が低く量が少ないです。1周期子宮を休めてもう一度採卵してから移植する予定です。
第一子の時から通っていた病院です。着床前診断は出来ない病院の様で、高齢なので毎回受診時に「この受精卵は染色体異常かどうかは分かりません」と言われます。この様な覚悟も決めて高齢不妊治療を決めたはずですが時々染色体異常と心疾患の事は不安になります。着床前診断が出来る病院は少し離れた所にありますが、凍結胚がありますし、転院するには勇気が要ります。

2018.9.14「
☆お子さんを亡くした後の妊娠率」の記事で、子供が亡くなったあとの妊娠率を見て、質問しようと思いました。今の病院で先生を信じたい気持ちはありますが時々くる不安で揺らぎます。主人は先生にお任せするしかもう他の道は選べないのではと言います。このまま私の身体を分かっている今の病院で続けるか、転院した方が良いでしょうか。

 

A 確かに、理想的には着床前診断(PGS=PGT-A)により正常胚を見つけて移植するのが良いですが、日本では事実上それが出来ない状態です。しかも、PGT-Aでは染色体異常はわかっても偶発的に生じるその他の異常はわかりません。心臓疾患は妊娠中に心臓超音波の専門医によるスクリーニング検査で見つかる可能性がありますが、そのような専門医は全国的にも少数です。いかなる検査をしても完璧ということはありませんので、今出来ることをやるしかないと思います。すなわち、現在ある凍結胚の移植をお勧めいたします。

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。