最近読んでよかった本 その54 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった3冊を簡単に紹介します。

なお、紹介の順番は五十音順にしています。

 

 

「火焔の凶器」知念実希人

天久鷹央シリーズ最新作。平安時代の陰陽師「安倍晴明」とライバル関係であった「蘆屋道満」の直系の「蘆屋炎蔵」の家には代々伝承されてきた教えがあった。陰陽道には呪術が含まれており、呪われたものは皆死を遂げる。「蘆屋炎蔵」はまさに呪術によってその名を轟かせていた人物であった。その「蘆屋炎蔵」の墓を調査した大学准教授が、不審な死を遂げる。死因は焼死。火の気がないところで、いきなり身体が発火しての死だった。さらに「蘆屋炎蔵」の墓を調査した残る2名にも同様な発火事件が起きる。第2第3の事件現場に居合わせた天医会総合病院統括診断部の「小鳥遊(たかなし)優」と「天久(あめく)鷹央」にその容疑がかかる。もし逮捕されれば、統括診断部が潰れてしまうだけではなく病院の大きなイメージダウンに繋がる。家宅捜索あるいは逮捕までの限られた時間の中で、この難問に解決を見出さねばならない。呪い?殺人?事故?さまざまな憶測が飛び交う中、小鳥遊、鷹央、鴻ノ池舞が謎の解決に奔走する。果たして人体発火現象の真相は何なのか?小気味好いテンポで話が進みます。ハラハラドキドキさせる話の展開は知念実希人の真骨頂です。

 

 

「テミスの剣」中山七里

御子柴礼司シリーズで法廷モノに異彩を放つ中山七里の作品です。不動産屋の夫婦が何者かに刺殺される。やや強行的な取り調べにより自白をさせられた「楠木明大」は、死刑判決を受け監獄で自殺を遂げる。取り調べに当たった「鳴海健児」と「渡瀬」は一躍ヒーローとなるが、数年後に別の類似事件で逮捕した「迫水二郎」が不動産屋殺人を犯したことを自供する。渡瀬は、鳴海の証拠捏造により楠木が犯人にさせられたことを知り、本件をあからさまにすべきか悩むが、正義感の強い渡瀬は内部告発を決心する。警察で四面楚歌状態の渡瀬は、一人真相究明に奔走する。そして、クライマックスのどんでん返し。さすが中山七里。冤罪はこのような過程で簡単に起こり得ることを示すと同時に、非常に重い命題「果たして人は人を裁いて良いのか」について考えさせられる作品です。

 

 

「浪花少年探偵団」東野圭吾

大阪大路小学校の美人教師「竹内しのぶ」が担任を務める6年5組の田中鉄平と原田郁夫は、ちょっと手がかかる悪ガキ。大阪府警捜査一課の新藤と漆原と共に、身の回りで起きた5つの事件を解決していく。男勝りなしのぶ先生と子供の関西弁による軽快なやり取りが不思議と心地よいです。