タイムラプスによるday 3初期胚と形態学的評価による胚盤胞のどちらが良いか? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、タイムラプスによるday 3初期胚と形態学的評価による胚盤胞の妊娠成績をランダム化試験により検討したものです。

 

Hum Reprod 2018; 33: 869(中国)doi: 10.1093/humrep/dey047

要約:2015〜2017年初回あるいは2回目採卵を実施した中国人女性600名を対象に、タイムラプスによるday 3初期胚形態学的評価による胚盤胞新鮮胚移植による妊娠成績をランダム化試験により前方視的に検討しました。なお、36歳未満、CD3のFSH<12、10個以上の卵子を採卵できた場合を対象とし、子宮奇形、ドナー卵子、不育症、異常卵、正常受精6個未満の方は除外しました。タイムラプスによるday 3初期胚移植(D3+TL)261名、形態学的評価による胚盤胞移植(D5+CM)256名の患者背景や培養成績に有意差を認めませんでした。妊娠成績は下記の通り。

 

妊娠継続率    D3+TL  D5+CM  相対危険度(95%CI)  P値

ITT解析     56.6%   64.1%   0.88(0.77〜1.01)  NS

PP解析     59.4%   68.4%   0.87(0.76〜0.99)  0.03

 

着床率      D3+TL  D5+CM    P値

ITT解析     62.1%   72.5%    0.01

PP解析     64.4%   77.0%    0.002

 

なお、流産率、双胎妊娠率、子宮外妊娠率には有意差を認めませんでした。ロジスティック回帰分析により、妊娠継続率に有意な影響を与える因子として抽出されたのは、11個以上の正常受精(P=0.02)と形態学的評価による胚盤胞移植(D5+CM)(P=0.03)でした。

 

解説:最近、タイムラプス型の培養器が広く普及し始めています。この培養器では胚の連続観察が可能であり、day 3初期胚までのパラメータにより(良好)胚盤胞到達の予測が可能となりました。これにより、胚盤胞まで育てずに胚盤胞移植と同等の妊娠成績を出せないかという狙いがあります。本論文は、初めての最大規模のランダム化試験であり、従来からの形態学的評価による胚盤胞移植(D5+CM)に軍配が上がったことを示しています。しかし、ここで注意が必要なのは、ランダム化試験の評価としてPP解析よりITT解析を重視すべきなのですが、妊娠継続率に関してはITT解析で有意差が出ていません。たった一つの論文で結論を出すのは早計ですので、今後の検討を待ちたいと思います。なお、タイムラプスではday 3初期胚までのパラメータでは、正常胚の予測はできませんので、この辺りがネックになっているのではないかと推察します。

 

タイムラプスについては、下記の記事を参照してください。

2018.5.10「PGS正常胚のタイムラプスにおける特徴

2016.4.24「タイムラプスは妊娠率アップに有効か その3

2016.3.9「タイムラプスは妊娠率アップに有効か その2」
2016.3.6「タイムラプスは妊娠率アップに有効か その1」
2016.2.22「妊娠出産に寄与する因子は?」
2015.3.4「タイムラプスを使って女の子の胚を選別できる?」
2015.2.27「タイムラプスによる胚選別のアルゴリズム」
2014.4.30「タイムラプスの将来性」
2014.3.12「☆タイムラプスによる着床できる胚の分割速度:これまでのまとめ」
2013.10.17「☆タイムラプス•イメージングの進化」
2013.7.13「☆適切な時期に適切に分割する胚が良好胚」
2013.11.18「タイムラプスの基本」

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