Q&A1831 トランサミンについて | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q シミと肝斑治療のため、トランサミン250mgを一日3回服用しております。妊娠を目指す場合、トランサミンの服用は問題ないのでしょうか。また、生理不順など婦人科系に影響はありませんでしょうか。
「トランサミンの美白効果・副作用・市販薬について解説」記事によれば、生理が遅れたり、止まったりした場合、薬の服用を中止すれば2~3日で元に戻る、妊娠・授乳中でも危険はない、0歳から服用可能と記載されていました。

A
 トランサミンは抗プラスミン剤(線容阻害薬=凝固した血液を溶かすのを阻害)として分類されますので主に止血剤として使用されますが、シミや肝斑の治療にもしばしば用いられますし、その他下記の疾患にも用いられる不思議な薬剤です。

 皮膚疾患:湿疹、蕁麻疹、薬疹、中毒疹 

 炎症性疾患:扁桃炎、咽喉頭炎、口内炎

妊娠中の使用については、大きな問題点は指摘されていませんが、妊娠中は血液が凝固しやすい状態です。止血剤の使用は血栓症のリスク増加につながりますので、積極的にはお勧めいたしません。

 

女性の血栓リスクについては、下記の記事を参照してください。

2017.2.3「ピルの血栓リスク:ASRMガイドライン

*閉経後(40〜65名/1万人年)> 妊婦(5〜20名/1万人年)>ピル服用(3〜15名/1万人年)>ピルなし(1〜5名/1万人年)

 

なお、このQ&Aは、約4〜5ヶ月前の質問にお答えしております。