Q&A1694 卵巣チョコレート嚢腫術後採卵1回、初期胚凍結1個 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 妻39歳、夫37歳

 

2017年1月 7cmの右卵巣チョコレート嚢腫摘出

 

 

2017年5月 子宮頸管ポリープ摘出

 

 

初回体外受精を実施

 

 

ロング法、CD6からhMG 300IUx9日、hCG 5000IU、38時間後に採卵、6個の卵胞から卵子4個獲得(内一つはチョコレート嚢腫を取った右から)、精子数が少なく運動率も悪い(詳しい数値は伝えてもらえてません)ためすべて顕微受精が行われました。採卵後3日目フラグメントが見え始めたので初期胚凍結1個(何分割かは伝えられていません)、2つは極体確認するも卵割の確認が出来ず(後2日培養し確認出来なかったため破棄)、残り1つは受精せずでした。

 

 

 

 

 

夫は精液の所見が悪いことから、男性不妊外来等他の病院に行かなくてはと考えていますが、他にもうつ病の治療のためラミクタールやレクサプロ、フルニトラゼパム等を使用しており、また若い頃DNAやゲノムの研究でエチジウムブロマイドなど発癌性物質や化学物質を大量に使用していた等の心配なことがあります。今後その中から顕微受精の際に好ましくない精子が選ばれることも、必然的に高くなるのではと心配です。

 

 

 

そこで一度に取れる卵子数を増やし初期胚や胚盤胞と進む受精卵の数そのものを増やしたいと考えているのですが、主治医にはチョコレート嚢腫手術を経験していてさらにhMG300IU投与を9日間行ってもこの反応だと、方法を変えてもこれ以上採卵数を増やすことは難しいと言われてしまいました。今後採卵できるのが3ヶ月に一度と言われた中で私達の様なケースの場合、採卵数アップを目指すよりも行ったほうが良いアプローチ等考えられるでしょうか。また、一度の採卵数を増やすことは難しいのでしょうか。もちろん今回凍結した初期胚がうまく着床し育つ可能性もあると考えていますが、どうしてもその次を考えずにはいられず質問させていただきました。また、こちらへのデータの開示や説明不足(顕微時の卵子紡錘体の扱いを聞いても回答が無いなど、疑問が改善しない)、そして設備やエンブリオロジストのスキルなどの心配から転院を考えています。
 
 
A 文面から推測すると、通院中のクリニックは古典的な方法での体外受精を実施されているようにお見受けします。 
 
刺激法変更、薬剤選択、 連続採卵など、すぐにでも変更可能な部分もあります。卵子の改善策としては、25ヒドロキシビタミンD(25OH-VitD)、テストステロン、DHEAS採血を行い、不足部分を補うことで改善が期待できます。また、精子については過去の化学薬品への被曝の影響はあまり考慮されなくても良いと思います。精子は毎日作られており、およそ75日かけて出てきます。したがって、過去3ヶ月以内の発熱や放射線などの影響が重要です。なお、当院では、AMHと年齢をベースに刺激薬剤の選択を個別に行っており、刺激中は採血データと卵胞発育状況から薬剤の変更もしています。ぜひ、転院をお勧めします。
 
 

 

 

 

なお、このQ&Aは、約4〜5ヶ月前の質問にお答えしております。