Q&A1614 子供を育てるのが心配です | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 40歳で結婚、不妊治療の末42歳で出産。主人は11歳年上です。まだ凍結受精卵があるので第二子希望なのですが、高齢夫婦が故、健康や経済的な不安を払拭しきれません。両親が高齢だからこそ、兄弟を作っておいてあげたいという気持ちは大きいのですが、、、現在の社会環境を考えると、非常にドライな言い方になりますが、子供は負債でしょうか、それとも資産でしょうか。愛のある笑顔が絶えない家庭だけでは乗り越えられない壁があると感じます。先生はどのように感じられますでしょうか。

 

A 間違いなく子供は財産だと思います。しかし、日本では子供を育てるのにかなりお金がかかるのも事実です。そのため、老後の心配が尽きないのだと思います。質問者さんのような考えが生じても不思議ではありません。

 

一方、北欧のように、全ての社会保障を国が賄うスタイルでしたら、老後の不安なく妊活や子育てが可能です。その代わりに、高額な税金を納めることになります。例えばデンマークでは、所得税55%(市税21%・県税11%・国税23%)、消費税25%、自動車や貴金属の消費税100%〜280%とかなり高額です。しかし、日本での税金+生命保険+教育費+私的公的年金+医療費+老後のための貯蓄などの合計は収入の51%程度になるとの試算があります。

 

結局、かかるお金はほとんど同じになりますが、安心感が格段に違います。この安心感があるため、日本より北欧の方が出生率が高いのではないかと思います(2015年の合計特殊出生率:日本1.45、スウエーデン1.85)。北欧は一度今の日本並みの出生率に低下してからここまで挽回していますので、参考になるかもしれません。