Q&A1603 第一子の妊娠を踏まえて次回への対策は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 先日第一子を出産しましたが、妊娠中も気をつけるべきこと等、ブログを参考にしてきました。以降も拝読させていただいております。さて、今後に向けて、お伺いしたいことがありましてメールを差し上げます。

子宮筋腫摘出手術歴あり
39歳 採卵、移植(体外授精)→40歳 出産
移植回数6回(1回目に化学流産以降は反応なく、6回目で妊娠)

①不育症検査結果について
6回目の移植の前に不育症検査を行いました。基準値を外れるものとして、プロテインS活性33%、抗PE抗体IgG キニノーゲン(+)0.331を指摘されました。念のため移植時にアスピリン投与しましょうとなり、7週くらいまでアスピリンを服用していました。10週頃、ふと気になり自分で検査結果を調べてみたところ(先生のブログも拝見し)、プロテインS活性の低さに愕然とし、出産のためにかかっていた産婦人科に相談しましたが、妊娠後には打つ手なしと言われ、結局そのまま何もしませんでした。以降、産声を聞くまで、不安でいっぱいでしたが、自分でできることは…と、DHA EPAサプリを摂りました(血をさらさらにしてくれるのではないかと期待し…)。
お伺いしたいのは、
1  自力で値を改善することは可能でしょうか。
2  自力で改善が可能なら、どのようなことをおこなったらよいでしょうか(今回のDHA EPA摂取は何らかの意味はあったのでしょうか)

②着床不全?について
1回目に化学流産したあとは5回連続で反応なしに終わっていました(その間に一度転院あり)。アスピリン投与やシート法、自然、ホルモン補充色々行いました。6回目の移植時、それまでと異なった点として、移植の6日前に子宮体癌の検査で子宮内の組織を取りました。その後、移植の3日前にシート法を行なっています。何が成功の鍵だったのか…と思うと、子宮体がん検査で子宮内に少し傷をつけた(?)と思ってしまうのですが…、因果関係あると思われますでしょうか。移植に関して、子宮擦過法と言うのを耳にしたことがありますが、原理は同じなのかな?と思ったりしてしまうのですがいかがでしょうか。
まだ凍結胚があるので第二子も挑戦したいと思っているのですが、仮に子宮内に傷をつけたことがプラスに働いたとすればどようにクリニックに相談をすべきかご助言いただければと思います。

A 

①残念ながら、プロテインS活性を増加させる方法はありません。プロテインSは胎盤を守っているものと考えられていますので、プロテインS活性低下の際には胎盤のダメージの存在を示唆します。プロテインSに代わって胎盤を守ることができるのはヘパリンです。血液サラサラ云々は関係していないと考えられます。

②断定的なことは言えませんが、子宮体癌検査によるスクラッチ効果(子宮擦過法のことです)が奏功したものと思われます。次回も同様な方法で移植するのが良いでしょう。