最近読んでよかった本 その29 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった3冊を簡単に紹介します。

今回は、さよならドビュッシーに続く中山七里の音楽ミステリー第2〜4作を順番にご紹介します。

 

 

「おやすみラフマニノフ」中山七里

第2作。音大の学生たちが演奏会の準備をするさなかに立て続けに起きる事件。時価2億円のストラディバリウスのチェロが密室から忽然と姿を消す冒頭から始まり、信じられないようなことが起きます。犯人の目的は演奏会を妨害することなのか、あるいは違う意図があるのか。ラストのラフマニノフのピアノ協奏曲の描写は音楽が聞こえてきそうなほど、興奮の坩堝に鳥肌がたちます。イケメン音大講師の岬洋介が事件の解決に向け、奔走します。犯人は誰なのか、どんでん返しの繰り返しの後、最後に明かされる真実に驚愕します。

 

 

「いつまでもショパン」中山七里

第3作。5年に1回、ポーランドのワルシャワで行なわれるショパンコンクールの会場で、警官が殺された。警官の手の指10本が全て第2関節から切断されていた。コンクールの会場付近では、自爆テロや爆弾テロが多発し、コンクールの存続が危ぶまれる一方で、テロに屈しないという強い意志が主催者から表明された。日本からの出場者は、イケメン音大講師の岬洋介と全盲の榊場隆平。岬洋介は殺害現場を検証し始めた。しかし、厳重な警戒の中、会場周辺ではテロが多発する。コードネーム「ピアニスト」は誰なのか?コンクールの優勝の行方は?意外な真犯人に驚きます。

 

 

どこかでベートーヴェン「中山七里」

第4作。イケメン音大講師、岬洋介の高校時代のお話。このシリーズのエピソードゼロとも言えます。父親の転勤で岐阜県の田舎の高校に転校してきた岬洋介は、音楽科の中でも群を抜いたピアノ表現力で周囲を圧倒します。学園祭の準備のため夏休み返上で学校で練習していた最中に、思いがけない集中豪雨により高台にある高校が孤立してしまいます。携帯も届かず、電気も電話も遮断された中で、岬洋介は決死の覚悟で氾濫寸前の川を渡り救助を求めます。しかし、同時期に同級生の死体が発見され、岬洋介が容疑者として警察の取り調べを受けることになります。自らの無罪を証明するために証拠集めに奔走し、意外な真犯人が明らかとなります。中山七里らしいどんでん返しの連続と後日談に、中山七里ワールドを垣間見ます。次作の「もう一度ベートーヴェン(仮題)」への期待が高まります。