反復流産に黄体ホルモン製剤は有効か | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、黄体ホルモンが反復流産の方の流産予防に有効か否かをメタアナリシスにより検討したものです。

 

Fertil Steril 2017; 107: 430(米国)

要約:原因不明の反復流産の方で、黄体ホルモンが流産予防に有効か否かを検討したランダム化試験を検索したところ、10論文、1586名が該当し、メタアナリシスにより解析しました。8論文では対照群にプラセボを用いており、ダブルブラインド試験でした。天然型黄体ホルモン製剤(プロゲステロン)を用いたのは2論文であり、その他では合成黄体ホルモン製剤(プロゲデポ、ヒスロン、デュファストンなど)を用いていました。黄体ホルモン製剤(種類は問わず)を用いた方は、そうでない方と比べ流産率が0.72倍に有意に低下し、出産率が1.07倍に有意に増加しました。なお、早産率、新生児死亡率、生殖器奇形率には有意差を認めませんでした。また、本論文では切迫流産の方は除外しています。。

 

解説:2回以上の流産を経験する女性は、生殖年齢の女性の1〜2%に見られます(反復流産、不育症)。黄体ホルモン製剤は、切迫流産の治療薬として保険適応がありますが、反復流産や不育症の方に有効か否かについては議論が分かれます。本論文は、黄体ホルモン製剤が反復流産の流産予防に有効であることをメタアナリシスにより示したものです。しかし、最も有効な黄体ホルモン製剤の種類、投与量、投与経路については今回の解析では不明瞭です。今後の検討が待たれます。