Q&A944 妊娠に気付かずhMG注射 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 妊娠に気付かずhMG注射をしてしまいました。
28歳、多嚢胞性卵巣、軽度の男性不妊で治療中です。3回目の人工授精に向けて生理5日目からhMG150単位を9日間打ちました。最後の血液検査ではE2が3000以上の測定不能でした。卵胞が多数見え、私の意思で人工授精はキャンセルしました。その後OHSSの症状があり入院しました。生理が来れば良くなるとの事でしたがなか来ず、尿検査で陽性、エコーでは心拍が見えました。入院時もしっかりみてもらいましたが、胎嚢らしきものはありませんでした。現在の週数から逆算すると入院時は5w4dでした。この時胸部のレントゲンも撮ってしまいました。腰に何かを巻いて撮りました。
3w2dから4w3dまでhMG注射をしていたことになります。最終生理は5日間しっかり出血がありましたし体温も下がったので生理だと思っていました。生理が終わってすぐ体温は高温期のようでしたが暑くてガタガタだったため気にしていませんでした。
このように妊娠に気付かずhMG注射を続けてしまい、胎児に影響はありませんでしょうか。レントゲンも気になります。
産科の医師には影響があればすでにダメになっている、と言われましたが量が量だけに不安です。
CRLより現在12wになりますが、鮮血の大量出血が度々あります。一度稽留流産も経験しており非常に不安です。

A 断定的なことは言えませんが、一般的に、妊娠判定前の投薬はall or noneの法則が働くと考えられています。つまり、問題なく育つか、妊娠しないか、のどちらかになります。そのような観点から担当医の発言があったのだと思います。

また、レントゲンに関しては、胸部レントゲンは 0.01 mSv以下であり、しかも腹部を遮蔽しての撮影です。5w4dでしたら、50 mSv未満では胎児奇形の発生率増加はないとされています。
下記の記事を参照してください。
2012.11.23「☆妊娠中の放射線被ばく」

逆算すると、出血は生理ではなく着床期出血であったと考えられます。