☆妊娠を目指している方のカフェインは? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

「カフェイン飲んでもいいですか?」外来でよく訊かれます。不妊治療中のカフェインについては、2012.11.14「ライフスタイルと妊娠」にも記載していますが、アルコールと並んで外来ではかなりの頻度で質問がありますので、改めて記載することにしました。アメリカ生殖医学会(ASRM)は学会の見解として次のコメントを発表しています。

Fertil Steril 2008; 90: S1
要約:1日500mg以上の多量摂取では、不妊の確率が1.45倍になります。また、妊娠中のカフェイン摂取が1日200~300mgの場合、流産率が増加することが知られています(奇形率は増加しません)。一方で、1207名の妊娠中の女性をランダムに割り付け、カフェイン300mg以上群と0mgの群で比較したところ、胎児の発育に違いは認められませんでした。現状では、中等量のカフェイン摂取1日100~200mgであれば、妊娠前も妊娠中も明らかな問題はないと考えられます。なお、少量は1日に100mg未満です。

解説:カフェインは、プリンアルカロイドの一種で、coffeeに含まれることからcaffeineと名付けられました。コーヒー、緑茶、紅茶、ウーロン茶、ココア、コーラ、チョコレート、栄養ドリンクなどに含まれ、市販の感冒薬にも含まれています。主な作用は利尿作用、興奮作用、気管支拡張作用です。カフェインには習慣性があり、軽い精神依存と身体依存があります。禁断症状は起きませんが、カフェイン依存(カフェイン摂取の欲求)は非常によくみられます。カフェインを摂取しなかった時の虚脱症状として、頭痛、疲れ、不安、イライラ、吐き気などが現れることがあります。また、過剰な摂取は、急性中毒や慢性中毒症状を引き起こすことが知られています。

カフェイン含有量の目安は、次の通りです。
缶コーヒー       1缶  100~240mg
玉露          150mL 180mg
コーヒー(ドリップ)  150mL 100mg
コーヒー(インスタント)150mL 65mg
ココア         150mL 50mg
栄養ドリンク      100mL 50mg
抹茶          150mL 48mg
ダイエットコーラ    350ml 45mg
コーラ         350ml 34mg
紅茶、緑茶、ほうじ茶、ウーロン茶、番茶 150mL 30mg
玄米茶         150mL 15mg
麦茶、黒豆茶、杜仲茶、ハーブティー 0mg