卵巣反応不良の定義:ボローニャ•クライテリア | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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卵巣反応不良の定義「ボローニャ•クライテリア」が2011年に発表されましたので、ご紹介致します。

Hum Reprod 2011; 26: 1616
卵巣反応不良(POR: poor ovarian response)とは、以下の3項目のうち2項目をみたすものをいいます。
1)40歳以上、あるいは他のPORリスク因子(ターナー症候群、FMRI遺伝子変異、卵巣手術既往、抗がん剤治療後など)
2)刺激周期の採卵にて3個以下の卵子回収
3)AMH < 0.5~1.1 ng/mL、あるいはAFC(胞状卵胞数)< 5~7個

解説:卵巣反応が不良の場合、体外受精を行っても採取できる卵子が少ないため、採卵あたりの妊娠率が低下します。もちろん、良い条件が揃えばたとえ1つの卵子しか取れなくとも妊娠は可能ですが、良い卵子に巡り合うのは偶然の産物であり、計算することも計画することもできません。そのため、何度も採卵を繰り返す必要が生じてきます。したがって、上記の条件をみたす方はなるべく早めに妊娠を目指して欲しいと思います。