妊娠したら、ある種のお魚は食べないで下さい | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

厚生労働省は様々な部会や班研究会を開催しており、時々重要な情報を発信していますが、必ずしも全ての国民に通知できているわけではありません。下記は、日本産科婦人科学会宛に通達され、同学会ホームページにアップされました。
平成15年6月3日「水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項」
要約:一部の魚介類等では食物連鎖により水銀が蓄積することにより、人の健康、特に胎児に影響を及ぼすおそれがある高いレベルの水銀を含有しています。このため、妊娠している方は、魚介類等の摂食について、次のことに注意することが望ましいですが、その他の方は心配ありません。
バンドウイルカ:1回60~80gとして2ヶ月に1回以下
ツチクジラ、コビレゴンドウ、マッコウクジラ、サメ:1回60~80gとして週1回以下
メカジキ、キンメダイ:一回60~80gとして週に2回以下
詳細は厚生労働省医薬局食品保健部基準課のホームページをご覧下さい。

解説: オメガ3多価不飽和脂肪酸を多く含む魚、イワシ、ニシン、サバ、サケは、妊娠を目指す女性には望ましいと記載しました(妊娠を目指す女性はお魚を食べましょう)。幸いこれらの魚は、水銀蓄積の多い魚のリストには含まれていません。一般に水銀などの有害物質の蓄積は、食物連鎖により大きな魚に蓄積するわけです。イルカ、クジラ、サメ、メカジキは大きさ的に納得できます。キンメダイは比較的小さな魚なのに水銀蓄積が多く、マグロは大きな魚なのに水銀蓄積が少ないという例外もあります。