妊娠を目指す女性はお魚を食べましょう | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

オメガ3多価不飽和脂肪酸は、体内では合成できないため、食事から摂取しなければならない必須脂肪酸です。アルファリノレン酸 (ALA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)の3種類からなり、冷たい海で取れる脂身の多い魚、イワシ、ニシン、サバ、サケなどに多く含まれています。DHAは脳の発達や記憶に重要で、EPAは動脈硬化や高脂血症(コレステロール)やアレルギーに効果があることがよく知られています。下記の論文は、オメガ3不飽和多価脂肪酸摂取が卵の質を改善する可能性を示唆したものです。

Fertil Steril 2011; 95: 1820-3
要約:体外受精や顕微授精の前の食生活を調査し、その後の治療でのホルモン値や卵の質を調べたところ、ALAとDHA摂取と良好卵の採取に関連が認められました。ALAは野菜にも含まれており体内でDHAとEPAに変換されますが、その量は不十分であり、週に2回魚を食べることで必要なDHAとEPAが摂取できます。

解説:脂肪は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類され、飽和脂肪酸はラードのように固形のものであり、不飽和脂肪酸は固まらずに液体になっているものです。不飽和脂肪酸にはオメガ3、6、9がありますが、オメガ3、6が必須脂肪酸で多価不飽和脂肪酸と呼ばれます。オメガ6はリノール酸、γ-リノレイン酸、アラキドン酸であり、紅花油、ゴマ油、ヒマワリ油、大豆油、カノーラ油、コーン油などから摂取できるため、日常の食生活で十分に摂られています。本論文は魚を食べる国であるイギリスからのものであり、魚の食事をすすめています。DHA・EPAともに健康志向の方はよくご存知のサプリメントです。結局のところ、必須○○というものは、身体に「必須」なものなのです。