Q&A4030 この先希望が持てません | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2022.8.1「☆Q&A3375 プロラクチンが高いのに投薬なしです」、2022.11.9「Q&A3475 タイミングでの刺激法は?」、2023.2.26「Q&A3584 初回採卵移植の結果で」、2023.6.1「Q&A3679 胚選択など質問」で回答いただきました。いつも本当にありがとうございます。


今まで37歳時の卵を4回移植して結果が出ませんでした。1年前AMH0.32、もうすぐ39歳。
男性側に不妊要素はないですが多忙のため毎回、凍結精子で顕微授精。
採卵1回目→3個(1つ未熟卵、1つ発育停止)→1つ初期胚を新鮮胚移植①…陰性
採卵2回目→5個(2つ空胞、3つ胚盤胞凍結)
移植② 6日目4BC→融解後5BC…陰性HCG 0.7
移植③ 5日目4AB→融解後4ABのまま、自然排卵周期、SEET…BT9判定日HCG 49.6→胎嚢しか見えず稽留流産(胎児染色体検査できず)
移植④ 5日目4BA→融解後5BA、ホルモン補充周期、SEET(念のためバイアスピリンを希望して移植後5日目から服用)…BT9判定日HCG 32.4→BT14再判定HCG 2.7化学流産

下記検査も色々受け、特に異常の指摘なし。
甲状腺、ビタミンD、銅亜鉛、HOMA-R、子宮収縮検査、不育症採血検査、CD138(4個/10HPFs)、EMMA(ラクトバチルスサプリで対策中)、ALICE
受けてないのは、着床の窓、PGT-A、夫婦染色体検査くらいと思います。
サプリはDHEA、イノシトール、CoQ10、葉酸etc…服用しています。

Q1)また採卵からですが、37歳時の卵がすべて染色体異常だったとすれば、低AMH39歳で採れる卵なんて異常卵しかないのではと希望が持てません。原因探しにも疲れて心折れそうです。これまでの結果は運が悪かっただけでしょうか。卵、子宮、ホルモンの問題、私自身の染色体異常なのでしょうか。良好胚2つ毎回HCGが低いのも何故でしょうか。
Q2)今後、着床の窓の検査は前向きに検討中です。通院先はERAしかやってません。リプロだとERPeakが受けられるけど薬剤は通院先と同様には出来ないとの事。移植本番と同じ設定が良いとの事ですが、どちらのほうが良いですか。可能ならどちらも受けたほうが良いですか。
Q3)PGT-Aは考えるべきですか。でも、今まで胚盤胞になりましたが、次回もそこまで育つか自信ないし数も採れません。
Q4)卵が数個しか採れませんが、初期胚移植も考えたほうが良いですか。着床の窓の検査結果は初期胚、胚盤胞どちらの移植にも対応できますか。
Q5)移植周期の管理について、自然周期だと私はE2が全期間通して低いです。内膜は厚くなるので気にしなくて良いと担当医に言われます。リプロだと自然周期でもE2補充するレベルで低いですが、通院先は投薬してくれません。E2値に私は不安を感じホルモン補充周期を選びましたが、松林先生は(窓ズレない場合)今までの経過だと自然orホルモン補充周期おすすめはありますか、どちらでも良いですか。P4はいつも基準値クリアしてます。ホルモン補充周期は、黄体ホルモン開始指示が「5日目の昼」とアバウトだったので、自分で計算して移植まで123.5時間くらいでデュファスト開始(その後ワンクリノンも)。BL4、BL5の胚に対し(窓ズレなければ)このくらいの時間で移植で良いでしょうか。
Q6)着床2回とも移植~数日頭痛・眠気あり、移植④では吐き気・嘔吐もありました。着床2回に共通する症状だったので妊娠が関係してると確信したのですが、この反応は悪い事(赤ちゃんに抵抗、攻撃している?)なのでしょうか。

自分なりに色々調べて検査して頑張ったのに、凍結胚はなくなり1年前よりもっと卵巣機能も卵の質も下がってしまっただけの何も前進できてない1年間となってしまい、今後何をしても無駄じゃないかという気がしてなりません…。

 

A 

A1、A3)検査済みの中で気になるのは、CD138(4個/10HPFs)です。リプロダクションクリニックでは、20視野(20HPFs)を見て4個以下を陰性、5個以上を陽性と判断しています。質問者さんの検査では、10視野(10HPFs)を見て4個ですが、残りの10視野に1個でもあれば陽性になります。内膜が薄い時期(月経終了後数日以内)に今一度再検査を行い、20視野で判断することをお勧めします。もしこれが陽性なら、決定打になります。HCGが低いことも陰性も説明がつきます。もちろん(年齢では考えにくいほど)受精卵の異常が多い可能性も否定できませんから、CD138が陰性なら、夫婦染色体検査とPGT-Aの実施をお勧めします。
A2)また、着床の窓がズレていれば、HCGが低いことも陰性も説明がつきます。行うのであれば(当院の方法で)ERPeakを推奨します。
A4)CD138→夫婦染色体検査、PGT-A、ERPeak→初期胚移植の順番に進めるのが良いでしょう。着床の窓の検査は、初期胚にも胚盤胞にも対応できます。
A5)これまでの経過だけでは、自然周期とホルモン補充周期の優劣はつけられません。上記の順に検査を進めて、まずERPeak通りの移植をお勧めいたします。
A6)着床期には様々な症状が出る方と全く出ない方がおられますが、症状の有無も症状そのものも悪い事ではありません。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。