Q&A3475 タイミングでの刺激法は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2022.8.1「☆Q&A3375 プロラクチンが高いのに投薬なしです」で質問にお答え頂きました。その節はありがとうございました。低AMH(37歳時:0.44)で、不妊治療クリニックの先生達には顕微授精を急ぐよう言われているのですが、パートナーが体外受精に乗り気でなく、タイミング法で頑張っています。

卵巣機能が弱っているため高刺激はしたくなく、お薬も恐る恐る貰っています。FSHはいつも13くらいで下げたいですが、松林先生のブログを拝読して、カウフマンやピルでリセットするのはAMHが低い自分には良くないと思い、通院先の先生に勧められても断ろうと思っています。
クロミッドも飲み薬の中では効果的なほうだと思いますが、漫然と長期間飲み続けるのはデメリットがあり良くないと聞くので今のところ飲んでいません。そこで、レトロゾールが良いと他の先生のブログで知り、レトロゾールを処方して貰っていたのですが、松林先生のブログでレトロゾール(フェマーラ)は卵胞数が少なくなると知りました。カウフマンやピルでリセットすると一時的にAMHが下がると松林先生のブログで拝読したのですが、フェマーラで卵胞数が少なくなるのも同じ理由からでしょうか。薬にもそれぞれ一長一短あると思いますが、もう私のような低AMHは何の薬で刺激をすればよいでしょうか。飲み薬は飲まずHMG注射だけで卵胞を育てるのは変ですか。以前、セキソビットを処方されていたのですが、レトロゾールとどちらが良いでしょうか。今は、Day3〜7の5日間レトロゾールを飲んで、Day9頃に内診で育ちそうな卵胞が数個見えれば、そこからフォリルモン150単位を1日おきくらいに2〜3回注射、卵胞が1つしか見えなければ注射なしで進められています(最高で同時2個しか見えた事がありません)。
それと、初めてHCG注射をした日の晩に今まで経験したことないような下腹部の鈍痛(生理痛のような感じ)があり寝込んでしまいました。Day14の朝に排卵検査薬が陽性、その晩にタイミング、Day15も排卵検査薬は陽性で、しっかり排卵しそうだけど、念のためにとHCG5000の半量を注射されました。HCGの量は多くないと思いますし、自分はAMHが低いから心配ないと思っていたのですが、これは卵巣過剰刺激症候群だったのでしょうか。普段、薬を使わない状態では排卵痛は今まで一度も感じた事がありません。また、HCG注射はその1回限りなので、毎回どんな感じというのは分かりません。自力でしっかり排卵検査薬が陽性ならHCG注射はしないほうが良いのでしょうか。

いつも高温期が10~12日程度で、直近2年間に4回測ったプロゲステロン値は10.6~12.28くらいでした。通院先の先生達には何度聞いても、その値なら黄体機能不全は心配しなくていいし薬も不要と言われるのですが、私は卵巣機能や卵胞の質など婦人科系全般に自信がなく、もし卵巣などに害がないならお守りとして黄体ホルモン補充の飲み薬や注射も試してみたいのですが、先生はどう思われますか。

 

A どの薬剤がその方に適しているかは、使ってみなければわかりません。現在日本で使える卵巣刺激の内服薬はセキソビット、クロミッド、レトロゾールの3つです。そこにフォリルモンなどのHMG/FSH製剤をどの程度加えたら良いかも、実際に使ってみた結果で判断します。また、HCG注射当日の腹痛は単純に排卵痛だった可能性もありますので、かならずしも注射のせいとは限りません。卵巣過剰刺激症候群の診断は、超音波と採血などにより行いますので、症状だけでは何とも言えません。黄体機能不全の心配はないと考えますが、黄体ホルモン補充の内服は試してみても良いと思います。黄体ホルモン補充の注射は世界的に販売中止になりましたので、現在使えるのはHCGのみです(これまでの経緯から、やめておいた方が良いと思います)。

 

なお、このQ&Aは、約4週間前の質問にお答えしております。