全員が善意にも関わらず、良き意図を持ちながら、全員で協力して、地獄への道を歩いてしまうことがあります。
悪意がある狼が羊の大群を喰い殺してしまうのであれば分かるのですが、一人一人は純粋な善意で行動しているにも関わらず、全滅してしまうことがあります。
地獄への道は善意で敷き詰められている
c.f.輪廻転生や前世を語る前に 2011年01月23日
c.f.街角で天使に出会ったら 2011年02月23日
c.f.♪お手(てて)つないで 野道をゆけば♪〜どこへ行くのか?地獄への道の招待 2012年03月09日
c.f.感覚は裏切るが、理論は裏切らない。人は裏切るがw(冗談です)、概念は裏切らない 2014年06月21日
「地獄は善意で満ちているが、天国は善行で満ちている」
Hell is full of good meanings, but heaven is full of good works
この原因はいろいろあるでしょうが、一つにはシステムの暴走があげられます。
システムの暴走というとブラックボックスな感じがありますが(なぜ暴走するかは不明という印象がありますが、そしてそういうこともあるでしょうが)、もっとシンプルなアルゴリズムの場合もあるでしょう。
たとえば、懐かしいところで言えば「海水を飲む」というモデルです。
これは良いはずのシステムが暴走します。
何か液体を飲む以上は、その人は喉が乾いているのでしょう。
そこで海水を飲むことを選択してしまうとどうなるのでしょう。
血液よりも濃い食塩濃度を誇る海水を飲めば、細胞膜という半透膜をH₂Oが通過して、食塩濃度を下げようとするでしょう。脱水が起こります。細胞から大量の水が奪われます。水を足そうと思って、水を失うのです(投資話も似ています。しばしば、お金を得ようとして、お金を失います。投資家のクワドラントに入る前にビジネスオーナーに、ビジネスオーナーになる前に自営業で稼ぎましょう)。
平たく言えば、高濃度の食塩水を飲めば、喉が乾くのです。
乾きを癒すための行為が、その悪い状態を増幅します。
そしてそれはループします。
どうループするかと言えば、
→喉が乾く →海水を飲む → もっと喉が乾く → また海水を飲む→もっともっと喉が乾く→
とループするのです。
これを「まといのば」では「海水モデル」などと言っています。
初出はいつかは覚えていませんが、2014年にこう書いています。
10年前ですね〜。
c.f.protein(プロテイン)とはタンパク質のこと 〜栄養は化学で見なければ神学になる〜 2014年02月24日
上記に関連して、先のYogaスクール(2月開催)では「海水を飲んではいけない」という話しをしました。
海水を飲んではいけない、という1つの寓話を通じて、糖質制限なりケトン体質なり細マッチョ計画の難しさを伝えました。
海水は塩水です。塩と水です。塩が溶質、水が溶媒。塩+水=塩水です。
水分は身体にとって不可欠であり、重要な化学物質です。
塩も重要な化学物質です。ナトリウムは身体にとって不可欠です。
どちらも重要であり、どちらも不可欠です。
ですが、塩水というか海水を飲んではいけません。どれほど喉がかわいていても、むしろ喉がかわいているからこそ、海水を飲んではいけません。
という話をすると、「いや、水も大事、塩も大事、どちらも大事なものであり、有害なものではないし、喉がかわいているのであれば、飲んでもいいはずだ!」と反論が飛んでくるようなものです。
いや、それなら海水でも砂糖水でも、飲めばいいんじゃないですか?と思います(^^)
好きにすればいいのです。
「なぜ、海水を飲んではいけないのか科学的に説明しろ」と言いながら、「浸透圧」を知らなかったりします。いや、「あなたにとっての科学とは何ですか?」と問いただしたい(笑)そこに「塩は少なめがいいよ」とか「塩分は問題ではないんだよ」とかトンチンカンな人がトンチンカンな発言で参入します。
もう収拾がつかなくなります(笑)
良いものと良いものを掛けあわせたら、もっと良いものになるとしか思わないのは不幸です。
+と+を掛けあわせても+です!とか言われます(じゃあ、ヒ素と濃硫酸を混ぜて飲めばプラスになるのか?)。だったら、その信念に基いて、海水を飲めばいいのです。
まずは基本的な科学的知識、最低限、小学校の理科のレベルはクリアしたほうがいいですし、論理ということを真剣に考えたほうがいいと思います。
多くの人はまず「結論ありき」であり、その結論も適当にそのときの情動か、もしくは彼らにとてって知の神殿であるテレビからの情報に基づきます。
で、これをシステムとか、システムの暴走と言っています。
システム自体は善意で構築されていますし、塩も水も良いものなのですが、組み合わせに失敗するとシステムが牙を向きます。ひとつひとつは普通の命題(文章)なのに、組み合わさると矛盾を生じさせるようなものです。矛盾というかパラドックスですね。
c.f.うそつきのクレタ人が無限階段を上昇し下降して自己言及する。 2013年10月29日(こちらも10年以上前ですね。寺子屋に盛り上がっていた時期ですね)
いわゆるウォータゲートのパラドックスです。某所でのセミナーにて紹介しました。
(引用開始)
(1)ウォーターゲート事件に関してニクソンが言ったことの半分以上は偽である。
(2)ウォーターゲート事件に関してジョーンズが言ったあらゆることは真である。
(引用中断)
特に、パラドックスも自己言及も出てこなさそうな普通の命題です。
両方共、真であっても問題はありません。そのような状況はありえます。
しかし、これに続けて、
(引用再開)
(1)を言ったのはジョーンズであった。そしてそれがジョーンズがウォーターゲート事件に関してなした唯一の発言だった。
一方、(2)を言ったのはニクソンであった。そして、この発言以外にウォーターゲート事件に関してニクソンが言ったことはちょうど真・偽が半分ずつであった。
(引用終了)(以上、pp.90-91 論理学をつくる)
とあると、途端にパラドックスが生まれます。
パラフレーズしてみましょう。
(2)のニクソンの発言が真だと仮定します。
すると、「ウォーターゲート事件に関してジョーンズが言ったあらゆることは真である。」は真であるとなります。
すると(1)を言ったのはジョーンズです。そしてそれが唯一の発言であることから、
「ウォーターゲート事件に関してニクソンが言ったことの半分以上は偽である。」という命題は真となります。
しかしここで問題が生じます。「この発言以外にウォーターゲート事件に関してニクソンが言ったことはちょうど真・偽が半分ずつであった。」という制約がある以上は、「ウォーターゲート事件に関してニクソンが言ったことの半分以上は偽である」ことから、ニクソンのこの発言は偽となります。
とすると、ニクソンの「ウォーターゲート事件に関してジョーンズが言ったあらゆることは真である。」が偽であるとなれば、「ウォーターゲート事件に関してジョーンズが言ったあらゆることは偽である」ということになります。
とすると、ジョーンズの言った「ウォーターゲート事件に関してニクソンが言ったことの半分以上は偽である。」は偽ということになります。とすると、「ウォーターゲート事件に関してニクソンが言ったことの半分以上は真である」ということになり、「この発言以外にウォーターゲート事件に関してニクソンが言ったことはちょうど真・偽が半分ずつであった。」という制約がある以上は、「ウォーターゲート事件に関してニクソンが言ったことの半分以上は真である」ことから、ニクソンのこの発言は真となります。とするとまた仮定と矛盾し、ふたたび無限ループに陥ります。
まあここから見出される結論は、パラドックスを生むかどうかは、文がどのような状況で使われるかに依存する、そしてパラドックスの責任は文それ自体ではなく、文とそれが使われる状況による。また自己言及を含んでいるような文でもパラドックスが生じないように使うことは可能ということです(たとえば、「この文は日本語の文です」は自己言及を含むがパラドックスは含まない)。
海水モデルは、塩よりはるかに溶けやすい砂糖水モデルにスライドします。
砂糖水も高濃度であれば、水を奪います。
あ、アルコール水(お酒)も(だからチェイサーが必要)。
糖と酸素はそれ自体が猛毒として機能するので(反応性が高いからこそ便利でもある)、血液に溶け込んだ糖は急いで細胞に吸収させなくてはいけない(吸収させて血糖値を下げる命令を出すホルモンがインスリン)。
あるループが次のループを生み、そしてそのループが次のループを生みます。
それが全て善意で敷き詰められていても、地獄への道が完成です。
単糖類を摂れば、血糖値がすぐに上がるために、インスリンが大量に放出され、低血糖になることで知られています。だから、甘いものは甘いものを呼ぶわけです。
単糖類(甘いもの)を食べる → 大量の糖が腸から吸収 → 血糖値が瀑上がり →血糖値が高いのは危険なので(AGEsを作るし)、血糖値を下げようとインスリンが大量に出る → 過剰なインスリンが低血糖を生む → 低血糖なので、お腹が空くというか、甘いものが欲しくなる →
という無限ループです。
「やめられない止まらない」のです。
3ヶ月でインスリン抵抗性が芽生えることが実験で知られており、それをせっせと無限ループで育てると10年でインスリンを分泌するランゲルハンス島が機能不全に陥ります(糖尿病の発症)。そこから10年で、、、。
単純糖質の摂取は海水モデル以外にインスリンモデルがスタートします。
そしてこのグルコーススパイクを繰り返すことで、身体がインスリン抵抗性を学習します(これも本来は善意のシステム)。
するとインスリンが効かなくなります。大量のインスリンが出てきても、「狼が来た」と叫ぶオオカミ少年のようなもので、細胞が反応しなくなります(とは言え、この場合、Sugarというオオカミは来ているのですが)。
そして、大量の糖によって脳内ホルモンがドバドバ出ます。そうインスリンモデル以外にもAddictionモデルが発火します。
次々とループがループを呼び、ドミノ倒しに地獄行きの切符が用意されるのです。
これがアディトレスクールの基本でした。
ループがループをという言い方を関数が関数を呼ぶと言い換えても構いません。
海水飲む → 身体 → 喉が乾く
という関数現象がループしてしまうのです。
水を飲めば済むのに海水を飲むからです。そしてこの「海水」が良いものとして社会には流布されています。いや、海水や醤油をドリンクとしては売っていません。もっと悪いものです。
関数が関数を呼び、暴走します。
それをパニックと呼んだりします。
これらの前提を踏まえて、たとえばヴィム・ホフの書籍の一節を読み直すと、そこに関数現象(もしくは海水モデル現象)が色濃く見えると思います。
速く呼吸しすぎると身体は脂肪ではなくブドウ糖を使いだし、無駄に消費する。そのうちエネルギー不足に陥って身体は疲れ果ててしまう。しかも最悪なことに、糖分や甘いものを前よりずっと欲するようになるのだ。
速く呼吸しすぎる → 身体 → 解糖系
(解糖系とTCA回路(クエン酸回路)があり、無酸素運動、有酸素運動などと言ったりします)
クエン酸回路には脂肪酸も入ってきます。脂肪燃焼ですね。かつてのいわゆるケトン体質ですね)
でも、糖って身体にどれくらいあるのでしょう。
1kg?
100g?
え?
5g???
c.f.「コカ・コーラ」に糖分はどのくらい含まれていますか?リーキーガット、肝臓・副腎・膵臓・神経疲労 2020年01月17日
ちなみに具体的に考えるべく、ちょっとした算数をやりましょう!!
グルコース(血糖)ってどれくらいあるの?という計算です。
身体に流れる血液が体重の8%と言われるので(60kgで4.8kgです。水分と考えると4.8kg程度)、空腹時血糖値がおおよそ80-100 mg/dLとされています。
簡単にするために、血液を5リットル、空腹時血糖値を100 mg/dLとします。
1デシリットルで100mgって分かりにくいですが、10デシリットルで、1000mgなので、何のことはなく、1リットルで1gです。
血液5リットル、血糖が1リットルあたり1gということは、、、
空腹時にある血糖(Blood Sugar)は5gということになります。
グルコースは身体の中に5gです。
たった5g!
めっちゃ少ない!!!
(この計算、あっていますかね??算数が苦手すぎて、自信ありません)
ということは、こんな小さなスペースに盛大に糖を放り込むのは自殺行為です。
速く呼吸しすぎる → 身体 → 解糖系
解糖系と言っても、糖は少ないのです。
5g?!
速く呼吸しすぎると身体は脂肪ではなくブドウ糖を使いだし、無駄に消費する。そのうちエネルギー不足に陥って身体は疲れ果ててしまう。しかも最悪なことに、糖分や甘いものを前よりずっと欲するようになるのだ。
そのうちエネルギー不足に陥って身体は疲れ果ててしまう。
そのうちエネルギー不足になるのは当然です。そもそも糖は少なく、そして慢性的に使うようにはデザインされていないからです(慢性疲労や線維筋痛症は大げさに言えば24時間解糖系で、システムが疲れ切ってしまうのです)。そして、足りない糖を欲しくなります。
しかも最悪なことに、糖分や甘いものを前よりずっと欲するようになるのだ。
この時期に甘いものが止まらなくなってしまった皆様、罪悪感を覚えることも、意志力の弱さを嘆く必要もありません。
冷静に身体で起きていることをメタ視点で眺めることです(頭を冷やすために水をかぶってみるのもよいでしょう)(「外に出て頭を冷やしてこい」とか、「水で顔を洗ってこい」とか「水をかぶってこい」みたいな先達の言葉は比喩ではなく具体的で、かつ生理学的に効果のあるアドバイスだったのだということが今更ながらよくわかります)。
そして関数現象として(もしくは海水モデルのループ)として眺めることです。
パニックになったら、海水で(冗談、冷たい水で、飲まなければ海水でも良いですが)顔を洗ってきましょう。
One more thing,
過剰な呼吸によって生じる二酸化炭素の過剰な排出は、血管を収縮させる。そうなると心臓は、血液をできるかぎり早く送り出すことで、この状態を埋め合わせようとする。身体としてはもっともな反応だが、不安を覚えたり呼吸が速くなったりしやすく、動悸が激しくなる人も多い。
これも関数現象として分析しましょう。
過剰な呼吸 → 身体(肺) → 二酸化炭素を過剰に排出する
二酸化炭素の過剰な排出 → 身体 → 血管収縮
血管の収縮に対して、心臓は血液を送り込まなければと考えます。
血管収縮 → 心臓 → 激しく動かす(血液を収縮した場所に送り込むために)=動悸が激しい
そして動悸が激しくなると軽くパニックになり、また呼吸が過剰になり、、、、とループする状況が目に浮かびます。
まとめると、
過剰な呼吸 → 身体(肺) → 二酸化炭素を過剰に排出する → 二酸化炭素が少なくなると血管は収縮する → 血管収縮すると血液が運ばれないので、心臓はもっと激しく動く(動悸が激しくなる) → 動悸が激しくなることに不安を覚え、もっと息をしようと過剰な呼吸をする(最初に戻りループする)
ウロボロスのヘビが自分の尾を食べていますね。
*「輪廻の蛇」
パニックとか、過呼吸に対して、僕はいつも「息を止めろ」と言いますが、カラクリはここにあります。
いや、コンビニ袋を口に当てても良いです。どちらにせよ、二酸化炭素濃度がゆっくりと上がり、血管は拡張し、心臓の動悸はおさまります。
上記の関数現象が逆回転するわけです。
発作時にはコンビニ袋は有効です。クンバカ(息を止めること)も。
平時にはコールドシャワーが有効です。
【書籍紹介】
c.f.「神さまを味方につける」ための簡単な気功術とは何か? 2016年02月01日
c.f.脳みそが筋肉で何が悪い? レディ・ガガのスーパーボウル、オデッセイとドラッグ〜十字架を背負う〜 2016年02月11日