Orange is the new Black (Swan)?!ボスキャラプラトンを打倒するのは | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

四ツ谷にありますバレリーナ専門の気功整体「まといのば」のブログです。
気功師から見たバレエとヒーリングのコツを公開します。
「まといのば」では、バレエ・ヒーリング・美容の各種セミナーを行っております。

*明日は寺子屋「シュメールの奇跡」の追加開催です!!!

お楽しみに!!!!

飛び込み参加、お待ちしております!!!!


ブラックスワンというのはたとえばこういうものです。

(引用開始)
七面鳥がいて、毎日エサをもらっている。エサをもらうたび、七面鳥は、人類の中でも親切な人たちがエサをくれるのだ、それが一般的に成り立つ日々の法則なのだと信じこんでいく。(略)感謝祭の前の水曜日の午後、思いもしなかったことが七面鳥に振りかかる。七面鳥の信念は覆されるだろう。
(引用終了)

人類の中でも親切な人達に殺されて食べられるなんて夢にも思わないわけです。
これが七面鳥にとってのブラックスワンです。

バートランド・ラッセルは鶏(チキン)でこの例を出したそうですが、タレブいわく北米用にアレンジしてみたそうです。

ターキー(七面鳥)の視点から見れば、人類の中で最も親切な人が永遠にエサをくれるのだと思い込み、そしてそれが一般的成り立つ永久不滅の法則なのだと考えています。
それは間違ってはいません。
ただし絞め殺されるまではです。

思いもしなかったことが降りかかり、信念が覆されるのが七面鳥にとってのブラックスワンです。
ただ人間にとっては当たり前のことであり、予想されていたことです(予想というか、そのために七面鳥を大事に育てています。感謝祭で美味しく食べるために)。


ちなみにアメリカのドラマの「Orange is the new black」では、七面鳥と間違えてハクトウワシを捕まえてしまい、捕まった(逮捕された)という話しがありましたw

昨日のスクールでもちらっと紹介しましたが、このドラマは面白いです。すべてが堀の中で起こる悲喜劇で、そしてすぐとなりにある世界すぎて、臨場感が高いです。


*魅力的すぎる登場人物たち!!!


それはさておき、ブラックスワンです。

七面鳥にとっての衝撃は、オーストラリアが発見されることで、白くない白鳥を目にしたヨーロッパ世界の人々と共通します。

ポイントは確証などというものは存在せず(それらしきバイアスはあるものの)、反証しかないということです。1000日分の確証があっても、それは1001日目に裏切られるかもしれないのです。そしてその衝撃は大きすぎて、1000日分の利益をふっとばすものです。

そのブラックスワンを見ないようにする世界がプラトン主義的な世界観であり、その確率の低いしかし起こると衝撃の大きい現象を知って行動するのがブラックスワン的な世界観です。


ブラックスワンという視点から見ると、決定論、確率論、そして複雑系の3層構造が綺麗に見えます。
従来の宇宙観は決定論的でした。
これは我々の直感とも整合します。
ニュートン的であり、アインシュタイン的な世界観です。
宇宙というビリヤード台ではすべての玉(原子)の振る舞いは最初に一突きで決まるのです。

ラプラスですね。

(引用開始)
もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。(引用終了)『確率の解析的理論』1812年

ある瞬間のすべての原子の位置と運動量(質量×速さ)を知ることができれば、すべての瞬間の原子の位置と運動量が分かるということです。すなわち神の目からは過去現在未来は一望できるということです。

この決定論は重要です。

一つのアルゴリズムなり論理なりの極北にこのラプラスの魔はあります。

そして我々のシステム1もこれに強く従っています。

ですが、ご承知の通り、「ある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ること」自体が原理的に不可能であるがゆえに、ラプラスの魔は消滅し、それと同等の能力を持つ神も死んだのです(生まれてもいなかったかもしれませんが)。
原理的に不可能とは量子論ゆえです。物理的な存在は確率論的にしか生じていないのです。

ちなみにラプラスの魔と二卵性双生児のマクスウェルの魔は死んではいません(二卵性双生児は冗談です。でも並べて脳のフォルダに入れておきたい概念です。大事なのは回答ではなく、謎です。回答はいつか反証されますが、謎は不滅です。賞味期限が切れない限りは)。


長々と議論を展開したいですし、来月の寺子屋のテーマはまさにこのブラック・スワンにしようかと思っています。
今期のスクールではブラックスワンをいかにヒーリングに活かすかについて考えますが、寺子屋では学問的になぜブラックスワンが重要かを考えます。
なぜブラックスワンは重要なのでしょう。
それは哲学、数学、科学、魔術のすべてを統べるプラトン主義に対して、Noをつきつけるからです。

偉大なボスキャラのプラトンを破壊するのは、はかなげな黒い白鳥なのです。




【参照書籍】

ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質/ダイヤモンド社

¥1,944
Amazon.co.jp

ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質/ダイヤモンド社

¥1,944
Amazon.co.jp



余談ながら、一つのヒントとして、今期のスクールのレジュメから引用します。

かなり荒削りですが、雰囲気はつかめるかと思います。

8.ニュートンとアインシュタインの決定論から、量子論の確率論、そして複雑系(フラクタル)へ

決定論的に自然がふるまうのは大数の法則に従うから。
実際は確率論的である。独立な多数の因子の和として表される確率変数は正規分布に従うので、大量のサイコロを猛烈な回数振ると決定論的で因果論的な世界が描写される。
しかしサイコロのひとつひとつを見ると、その目の出方は確率論的であり、そしてサイコロ自体も決定的ではなく確率論的にしか存在しない(量子論)。
カオス理論というのは決定論の宇宙、すなわちイデア界での決定されたカオス的な振る舞いでしかない。予測は不可能だが、神であれば予測できる。
しかし現実世界(物理世界)では、サイコロを振る確率論的な世界なので、神すらも予測不可能。
自然現象の多くは一見するとガウス分布に従うが、実際はべき分布であり、特にロングテールにブラックスワンが潜んでおり、ブラックスワンがすべてをひっくり返す。そして我々の世界は月並みの国ではなく、ブラックスワンに囲まれた果ての国であり、それを見ないようにしている。目をつぶるためにプラトンが現れた。



*レジュメの一枚目。右下にレジュメが再帰的繰り返されています。再帰性のイメージは水に映る自分の姿であり、それが連続することで合わせ鏡のようになります。フラクタルです。