マシュマロ・テストは決して我慢できるかのテストではなく、貪欲度をはかるテスト | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

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成長したい、成功したいと思ったら、真の意味で貪欲であれ!ということなのでしょうか?

マシュマロ・テストは決して我慢する能力をはかるわけではありません。
現在の欲望を消す能力でもありません。
我慢や欲望をデリート(消去)する能力をはかるならば、マシュマロ1個か2個ではなく、1個が0個にすべきでしょう。

ご招致のようにマシュマロ・テストとは「15分待てばもう1個マシュマロをあげるよ」というテストです。
まあ、僕はセミナー中に5分の休憩時間すらなかなか取れないので、15分待つなどというのは永遠に感じそうです。まあ、でも単糖類の塊を食品として見れるかどうかと言われたら、難しいですけどw

ちなみにWikipediaにはこうあります。
被験者である子どもは、気が散るようなものが何もない机と椅子だけの部屋に通され、椅子に座るよう言われる。机の上には皿があり、マシュマロが一個載っている。実験者は「私はちょっと用がある。それはキミにあげるけど、私が戻ってくるまで15分の間食べるのを我慢してたら、マシュマロをもうひとつあげる。私がいない間にそれを食べたら、ふたつ目はなしだよ」と言って部屋を出ていく。


いつもの動画も見てみましょう!!



マシュマロ・テストはたしかに自制心をはかるテストですが、それが我慢の能力であったり、欲望を消す能力ではありません。

実際に子供たちの目の前には1個のマシュマロと2個のマシュマロが並んでいます。ただ2個のマシュマロはより抽象度の高い情報空間に並んでいます。
1個と2個なら2個のほうが良いと考えるのが、自然淘汰を勝ち抜いた者の論理です。多ければ多いほど良いのです。
そして2個のマシュマロに手を伸ばすには、自分の欲望を抑え、コントロールすることが必要であることを理解しています(消すのではなく、抑えるのです)。




経済学では現在割引価値などと言います。
現在割引価値とは「ある将来に受け取れる価値が、もし現在受け取れたとしたらどの程度の価値を持つかを表すもの。たとえば1年後に100万円貰えるのと、今90万円貰えるのが等価であると感じる者にとっては、1年後の100万円の割引現在価値は90万円となる。」。

カーネマンいわく人間は現在を過大評価します。
現在の1個が15分後の2個より大きい子もいるでしょう(3人に1人くらい)。
ただ、いまもらえるものを過大評価するのは、進化論上ある意味で正しい生き残り戦略です。15分後に本当にマシュマロがあるのか分かりませんし、それが15時間後、15年後だったら、あてになりません。

ただ、かなりの蓋然性が高いときは、待つことは進化論上良い戦略となります。

だからこそ、目の前にあるマシュマロをいますぐに食べずに、一年かけて増やすことにしたのが、農耕の始まりでしょう!

飢餓状態に近い時に種籾(たねもみ)を食べずに、土(田んぼや畑)に撒くというのは鉄の意志が必要だったことかと思います。

種まきと言えばイエスですね~

8:5 「種まきが種をまきに出て行った。まいているうちに、ある種は道ばたに落ち、踏みつけられ、そして空の鳥に食べられてしまった。
8:6 ほかの種は岩の上に落ち、はえはしたが水気がないので枯れてしまった。
8:7 ほかの種は、いばらの間に落ちたので、いばらも一緒に茂ってきて、それをふさいでしまった。
8:8 ところが、ほかの種は良い地に落ちたので、はえ育って百倍もの実を結んだ」。こう語られたのち、声をあげて「聞く耳のある者は聞くがよい」と言われた。
ルカ8:5

2倍どころか、100倍はいいですね!
もちろん0にもなるかもしれないギャンブルでしょうが。農業は大変です。


そしてこの「待てる」という能力こそが「真の意味での貪欲」ということかと思います。
その能力が1個ではなく未来の2個を真っ直ぐに選ぶのです。

自制心はテクニックということもありますが、それ以上に抽象度の高い世界(この場合は10分、15分後の現状)に強い臨場感を持てるという能力です。

時間方向へ自由へ移動できるのはひとつの能力です。


(引用開始)
三才
私に過去はなかった

五才 
私の過去は昨日まで

七才
私の過去はちょんまげまで

十二才
私の過去は恐竜まで

十四才
私の過去は教科書どおり

十六才
私の過去の無限をこわごわみつめ

十八才
私は時の何かを知らない


(引用終了)(「生長」谷川俊太郎)


そして抽象度の高い世界が見えるようになると、自制心が重要になります。
「待つ」こと、「抑える」ことです。
自制心とは自分の行動のコントロール能力のことです。


自制心と言うと思い出すのはパウロ・コエーリョの「悪魔とプリン嬢」です。


『もし今、町で一番美人の売春婦がここに入ってきたとして、あんたは彼女が美人でも魅力的でもないと考えることができるのか?』
『できない。しかし、私は自分を抑えられるだろう』と聖人は答えた。
『じゃあ、もし俺があんたに、山を出て俺たちと一緒に暮らせと言って金貨をたくさん差し出したとして、あんたにはその金貨が石ころに見えるのか?』
『そうではない。しかし、私は自分を抑えられるだろう』
(略)
すべては抑えるかどうかにかかっていた。そして、何を選ぶかに。
問題はそれだけだった。


町で一番美人の売春婦を美人でも魅力的でもないと考えることはできなくても、自分を抑えられ、金貨が石ころに見えなくても、自分を抑えられるのです。

マシュマロが甘くない、美味くないと思うことはできなくても、自分を抑えることができるのです。


自由というのは何でもやりたいことをすぐやることという誤解がありますが、自由というのは自分を抑えることにあるように思います。


ちなみに余談ですが、悪魔とプリン嬢の中にはこんな一節があります。

「こういうことを言ったドイツの哲学者がいるーー「神にすら地獄がある。すなわち、人間に対して抱いている愛だ』とね。

良いですよね~神にすら地獄がある。

これはもちろん「ツァラトゥストラはかく語りき」の一節であり、ニーチェです。
これは火で塩漬けと合わせて理解したい感じですねー。


それはさておき、抑えると言えばもう一人思い出すのはケインズの紹介するニュートンです。



(引用開始)
純粋科学的ないしは哲学的な思考を試みたことのあるひとならだれでも知っているが、ひとはある問題をしばらくは心の中に保持して、それを洞察するのにいっさいの集中力を傾注することができるのであるが、それは次第に薄れてわからなくなり、その眺めているものがただの空白にすぎないことに気がつくのである。ニュートンは一つの問題を数時間も、数日も、数週間も、ついにそれが彼に秘密を打ち明けるまで、心の中に持ち続けることのできる人であったかとおもう。(引用終了)(ケインズ「人物評伝」のニュートン評)(下線部は引用者)

一つの問題を数時間も、数日も、数週間も、ついにそれが彼に秘密を打ち明けるまで、心の中に持ち続けること」ができるように自分を抑えることができるのがニュートンの偉大さです。


*バレエ・リュスのバレリーナを奥さんにした天才ケインズもまた「抑える」ことができた人です。
プリマと出会って7年間の不倫の上の結婚です。


そして意志力がある人はまさに「抑える」ことで、ますます意志力のリソースをセーブできるのです。
マシュマロ・テストとは人生そのものであり、我慢できるかのテストではなく、大きな欲望のために自分を「抑える」ことができるかのテストです。


【参考書籍】
悪魔とプリン嬢 (角川文庫)/角川書店

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ツァラトゥストラかく語りき (河出文庫)/河出書房新社

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いたこニーチェ (朝日文庫)/朝日新聞出版

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人物評伝 (岩波現代叢書)/岩波書店

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