「指を見るな、月を見よ」「toはtoなのだ」〜One word, one image.の風景〜 | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

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「指を見るな、月を見よ」というのがまさに釈迦の教えであり、律法主義を諌(いさ)めたイエスの教えです。もちろん今回テキストにした「燃えよドラゴン」でブルース・リー扮するLeeの教えでもあります。



Don't think. Feel.
It is like a finger pointing away to the moon.
Don’t concentrate on the finger, or you will miss all of the heavenly glory!


or you will miss all of the heavenly glory! というのがいいですね。
"the" です。「一つに決まる」と前から限定しているところのheavenly gloryです。
修飾は「前門の虎(限定)、後門の狼(説明)」でした。
前から限定、後ろから説明です。

我々のEnglish kindergarten(英語講座)においても、the finger(これも「その指」ではなく、この文脈では一つに決まる指ということです。前から限定しています)ではなくMoonを見るべきです。

指の形状、指の色、指の構造などをあーでもないこーでもないと議論するのではなく、指が指し示している「月」を素早くつかみたいものです。


それを言い換えれば、Don't think. Feeeeeeeeeeeeeeeeeeeeel.です。

ただ、そのFeelのアルゴリズムはきわめて厳密です。ブルース・リーが正確にもある蹴りに対しては"An exhibition?"と揶揄し、別な蹴りにはThat's itと褒めたように、それはきわめて厳密であり、客観的なものです。ただそのアルゴリズムはThinkでは捉えられず、Feelで捉えるしかないということが重要です。ただ共有されるアルゴリズムは明確にあるのです。

道具はきわめてカッチリしていて、そこから表現される世界は多様なのです。


すなわち、「みんなちがってみんないい」(金子みすゞ)のです。
これはアクセントだけではありません。表現される世界も同じです。
(もちろんアクセントも大切です。アクセントに対する信仰が強いので、そのブリーフシステムを壊すためにも、世界の極端なアクセントの強烈さ多様さを身をもって知ることが重要です)

「みんなちがってみんないい」をサッチャー女史が語るなら、

We are all unequal.

But to us, every human being is equally important.




となるでしょう(笑)



*Margaret Thatcher Free Society Speech (1975)



ただ、それはシンプルな道具によって広がる多様性のことを指しています。その道具はシンプルで、厳密なものです。

26文字でシェイクスピアが書けるように、そしてその26文字はAはAであって、Bではないように、です(昨日も少し話しましたがフォニックスも導入したいと思っています)。

同様に、to は toであり、a preposition(前置詞)かto-infinitive(To不定詞)かどうでもいいということです。もちろん見分けろと言われれば見分けられるけど(名詞が来るか、動詞かだけなので)、その見分けは英語を使うにあたっては不要ということです。

たとえば、

I went to the park.



I went there to buy a mobile.

のそれぞれのToが同じものに感じるのがFeelの感覚です。


大西泰斗先生は「英文法を壊す」の中でこう書いています。

「to不定詞の説明をするのになぜ前置詞の例を出すのか」と訝しく思われるむきもあるにちがいない。だがネイティブスピーカーは、2つのtoを区別立てはしていない。もちろん「動詞を伴うtoと、名詞を伴うtoを別物として考える」という基準を「理解」することはできる。だが、そうした知識を基に文を作り理解しているわけではないのである。toはtoなのだ。(大西泰斗著「文法を壊す」pp.42-43)


この力強い「toはtoなのだ」という感覚が、大西先生の文法の基本です。

One word, one image.

です。


toとはどんなイメージでしょう。

toは指し示すイメーです。ブルース・リーの月を指す指のイメージです。
指し示す矢印(→)のイメージです。




2つのtoを用いた文章をnativeの感覚で構造を取ることが大切です。nativeの感覚とは、to is toということです。to = to です。前置詞≠to不定詞 という感覚ではないということです(これはFeelではなく、thinkレベルの「理解」ということです)。

(1) I went to the park.

(2) I went there to buy a mobile.

大西先生の文章を続けます。

(引用開始)
toのイメージは到達点であった。ある行為の到達点を指し示す(point to)のが、toの機能でありイメージである。(1)は、I wentの後、「(行ったのは)そこだよ」という到着点を指し示す、といった感覚で述べられている。この「指し示す(point to)」というイメージ、すなわちポインター(pointer)としての機能が、さまざまな「不定詞の用法」を支えているのである。またここで、toがある種の意味補完を行なっていることにも注意されたい。「私は行った」だけでは、文意は完結しない。それではーー当然のことながらーー「どこへ」と疑問が残る。それを指し示す満たす、toはそうした呼吸で使われているのである。


まさにブルース・リーの指です。


「あれを見て!」と指さしてるときに、間違ってもその指を注視はしません(バスガイドさんが、「右手をご覧下さい、富士山が~」などと言っているときに、本当に自分の右手を見るようなものですw)。その指ではなく、指さしてる方向を見ます。月を見ます。

僕らもtoが出てきたら、そのtoがinfinitiveなのか、prepositionなのかに注目するのではなく、シンプルに矢印の先を、指の先を見ましょう!

それがOne word, one image.の風景です。





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