「私は深い恋に落ちてしまった。女性に恋をするのは...」 | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

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大栗博司教授のブログを読んでいたら、面白い動画を紹介されていたので、こちらでも紹介します。



これは面白いし、スゴイですね(寺子屋の役にも立ちそうです)。
物理学の大学院生だそうですが。。。いくつか動画があるので、興味があれば是非。
こんな教科書でざっくりと量子論を俯瞰できれば楽しいかもしれません。記事の一番下に歌詞を貼ります。


ちなみに表題はファインマン先生のノーベル賞記念講演からの引用ですが、そこだけ切り取ると意図を損ねるので、前後をふくめた引用をします。

「かのアイディアは私にとってあまりにも明白であり、またすばらしくエレガントにみえましたので、私は深い恋に落ちてしまった。女性に恋をするのは彼女のことを多くは知らないからこそ、欠点に目が届かないからこそです。欠点はやがて目につくようになるでしょうが、そのときはもう恋のとりこ。彼女から離れられない。私もご同様でした。むずかしいことがつぎつぎと出てきたのですが、私はかの理論から離れられなくなっていました。若くて情熱的だったのです。」(pp.285-286 R.P.ファインマン 江沢洋訳 「物理法則は以下にして発見されたか」岩波現代文庫)

翻訳を味わったあとに原文を読むと、ファインマンさんのリズムが身体に入ります。

That was the beginning, and the idea seemed so obvious to me and so elegant that I fell deeply in love with it. And, like falling in love with a woman, it is only possible if you do not know much about her, so you cannot see her faults. The faults will become apparent later, but after the love is strong enough to hold you to her. So, I was held to this theory, in spite of all difficulties, by my youthful enthusiasm.


恋愛は両目を開き、結婚生活は片目を瞑(つむ)りなどと言います。

「恋に落ちるのは重力のせいばかりとは言えない」とアインシュタイン博士も言いましたが、「引き合う孤独の力(谷川俊太郎)」が2人を恋に落とし、しかし近づけば「欠点はやがて目につく」でしょうが、そのときは離れられなくなっています。

学問もバレエも気功もそうだろうと思います。逆に恋に堕ち落ち、落ち続けることができないのであれば、潔くやめればいいと思います。そこには引き合う力がなかったということだからです。
そのときはもう恋のとりこ。彼女から離れられない。」と言えるようにしたいのものです。

とは言え、死ぬまで「若くて情熱的だった」ファインマン先生ですが、ノーベル賞記念講演をこう終えています。

「さて、青年時代の私が恋におちたあの理論はいまどうなっているでしょう?そう、もういい年のおばあさん。魅力はあせて、今日の若者たちは彼女を見てももはや胸の高鳴りを感じません。しかし、私どもはこのおばあさんに最上の賛辞を捧げることができます。彼女はたいへん良い母親でありました。彼女は何人かの非常に良い子供を生みましたーー。彼らのうちの一人に祝福をくださったことについて、私はスウェーデン王立科学アカデミーに感謝いたします。ありがとうございました。」(p.329)

So what happened to the old theory that I fell in love with as a youth? Well, I would say it's become an old lady, that has very little attractive left in her and the young today will not have their hearts pound anymore when they look at her. But, we can say the best we can for any old woman, that she has been a very good mother and she has given birth to some very good children. And, I thank the Swedish Academy of Sciences for complimenting one of them. Thank you.


恋に落ちた理論はもういい年のおばあさん、胸が高鳴ることはないけれども、賛辞は捧げられるというのは素晴らしい話です。ここでのメタファーは非常に面白いのですが、僕が読み取るのは有性生殖というメタファーです。

恋に落ちた相手(理論)がノーベル賞を取ったのではなく、彼女の子供(アイディア)が賞をとったのです。

ファインマンさんは講演の途中でこう言います

この研究の途上で発展させた考え方が、ほとんど全部、最後の結果には使われていないというのは驚くべきことです。」(p.324)

旅は目的地へたどり着くことではなく、経過が大切と言いますが、思考も同様です。

結論を決めてから思考(もどき)をスタートさせる人がいますが、思考という計算も出力が出てくるまで(出てくるとしたら)、分からないものです。それ以前にいつ停止するかも分かりません。

答が決まっている思考は「思考」ではなく思考もどきです。

どんな回答が出てくるか全く未知ではじめる計算こそが、計算であり、思考です。


ここで進化と有性生殖についてチラッと復習します。
無性生殖というクローンは最適解に見えます。環境に適応した親のクローンが生まれれば、その環境において安定します。しかし、あえて遺伝子を撹乱させる有性生殖を高等生物が選ぶのは、エラーを吐き出したとしても、遺伝子のプールを混ぜていくほうが環境が激変したときに(確率論的にまともに考えれば、激変しないことはありえ無いですし)、生き残るのはそれら「エラー」の中から選ばれる蓋然性が上がります。
ざっくりと平たく言えば、平時には無能でも危機においては真価を発揮する昼行灯みたいなものです(余計、わかりにくいか)。もしくは、いつもいじめっ子のジャイアンと性格の悪さしか見えないスネオが、映画版では良いヤツになるようなものです。

で、科学の発展においてもこの考え方が重要かもしれないとファインマン先生は言います(と僕は読みました)。

すなわち、「しかし、小さい確率にもせよ真理は別の方向にーー場の理論の時代ばなれした考え方をしたときに明瞭に見出されるような方向にあるかもしれない。だれがそれを見つけるでしょうか?自分を犠牲にして量子電磁力学を風変りな普通でない観点からーーその観点は彼が自分で考えださねばならないのかもしれませんがーー自習をした人だけであります。あえて犠牲と申しましたのは、何も探り当てずに終わるのが最もありそうなことだからです。」

無性生殖的な分裂によって、現代の流行の最先端をコピーするのではなく、有性生殖の遺伝子の撹乱のように、多様性を担保したほうが良いのではないかとファインマン先生は考えます。
そしてこの道をあえて「犠牲」と呼んだが、実際は「犠牲はそんなに大きくないと考えられ」また「いま考えているこのおもしろい可能性にはおそらくだれも気付いちゃいないだろうという心理的興奮を味わうことができる」と言います。

遺伝学の視点で考えれば、我々は単なる出来損ないのクローンでしかありません。出来損ないの部分をあえてユニークネスなどと呼んでいるだけで、単にエラーの集積みたいなものです。
遺伝子だけではなく、思考も行動も大量生産品のロボットのほうがまだオリジナリティがあるかのごとく、クローンです。しかしクローンだからこそ、自分は唯一無二の存在だと思いたがります。

我々が唯一無二でありうるのは、情報空間を新たに開拓するときです。開拓したときに我々はクローンから一つ上の系に一瞬だけ抜け出れます。

(まあ、とは言え、2000年ぶりに新しい情報空間を開拓したと思ったら、そこにのんびりとタバコをふかしていたガウスがいたことに気付かされたボーヤイ親子の驚きと絶望はいかほどかと思いますが。そんなボーヤイ親子の歓喜と絶望を楽しめる初版本もいま名古屋で展示されています)(お父さんの本の補講として息子の発見が紹介され、その抜き刷りをお父さんの同窓のガウスに見せたら、ガウスからは絶賛と共に、「でも僕は20年前にそこに到達したよ」というありがたいお言葉をいただいたそうです(笑い))。

このクローンの感覚。自我をめぐる問題を鮮やかに切り抜いていると僕が思うのは、最近の映画ではオブリビオンとバイオハザードです。

オブリビオンは予告編からはたぶんこの主題に関しては1ビットも情報は得られないでしょう。


バイオハザードからは少し分かります。



では、今春、修士論文を書き終えたばかりという大学院生(博士課程なのでしょうか?)のボヘミアングラビティの歌詞です!

Youtubeからの引用です。

Is string theory right?
Is it just fantasy?
Caught in the landscape,
Out of touch with reality
Compactified
On S5 or T*S3

Space is a pure void
Why should it be stringy?
Because it's quantum not classical
Nonrenormalizable
Any way you quantize
You'll encounter infinity
You see

Quanta
Must interact
Via paths we understand
Using Feynman diagrams
Often, they will just rebound
But now and then they go another way
A quantum
Loooooop
Infinities will make you cry
Unless you can renormalize your model
Of baryons, fermions
And all other states of matter

Curved space:
The graviton
Can be thought of as a field
But these infinities are real
In a many-body
Loop diagram
Our results diverge no matter what we do...
A Quantum Soup (any way you quantize)
Kiss your fields goodbye
Guess Einstein's theory wasn't complete at all!

I see extended 1-D objects with no mass
What's their use? What's their use? Can they give us quark plasma?
What to minimize?
What functional describes this
String?
Nambu-Goto! (Nambu-Goto)
Nambu-Goto! (Nambu-Goto)
How to quantize I don't know
Polyakov!
I'm just a worldsheet, please minimize me
He's just a worldsheet from a string theory
Reperametrized by a Weyl symmetry!

Fermi, Bose, open, closed, orientable?
Vibrations
Modes! They become particles (particles!)
Vibrations
They become particles (particles!)
Vibrations
They become particles (particles!)
Become particles (particles!)
Become particles (many many many many particle...)
Modes modes modes modes modes modes modes!
Oh mamma mia mamma mia,
Such a sea of particles!
A tachyon, with a dilaton and gravity-vity-VITY

(rock out!)

Now we need ten dimensions and I'll tell you why
(anomaly cancellation!)
So to get down to 4D we compactify!
Oh, Kahler!
(Kahler manifold)
Manifolds must be Kahler!
(Complex Reimannian symplectic form)
If we wanna preserve
Any of our super-symmetry

(Superstrings of type I, IIa and IIb)
(Heterotic O and Heterotic E)
(All are one through S and T duality)
(Thank you Ed Witten for that superstring revolution and your new M-theory!)

(Maldecena!)
(Super-Yang-Mills!)
(Type IIB String!)
Dual! Dual!
(In the AdS/CFT)
(Holography!)

Molecules and atoms
Light and energy
Time and space and matter
All from one united
Theory

Any way you quantize...

Lyrics and arrangement by Tim Blais and A Capella Science
Original music by Queen



大栗博士の著作は読んでおいたほうがいいと思います!是非。

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