足首と身体意識の関係について、ご質問がありました。
これは非常にタイムリーな質問です。現在、開発中でかつモニターを開始している気功技術と深く結びついている質問だからです。
これまでも足首については、たくさんこのブログで書いてきました。それらを簡単に振り返ってみましょう。
バレリーナの甲の出た美しいつま先を目指す「奇跡のつま先」という気功技術や、そのワークである「4つの足首」などはご存知のことと思います。
踝から下が非常に重要であることを、ギエムのストレッチを通して知ったことなどを、セミナーや講座などでも公開してきました。
マラーホフ、ルグリ、ギエムなどの足を目の当たりにすることで、その情報をコピーしようとしたのが「奇跡のつま先」です。
実際、驚くほどの結果が数ヶ月単位で出てきています。一回のバレエワークショップで早々に結果を出される人もいます。
またバレリーナの重心である「踵重心」についても、これまでも繰り返し議論してきました。
未だに足の裏の3点で支えるという理論が跋扈していますが、それは間違いです。
単純に物理学で考えれば、重心線は一つ、重心は一つです。三つあるならば、その中のどこかに重心があるはずです。ただ人体の構造上、拇指丘と小指の下、踵の三点の中央にもし重心を落としたら、身体は前傾します。
これはいわゆる「体感」と物理を混同しているケースなのです。
踵重心の人々は、土踏まずが上がります。ギエムやルグリは足裏の筋肉が削げているかのごとく何もありません。
そうすると指を除くと接地しているのは踵と拇指丘と小指の同じ部分の3点しかありません。
その3点しか無いという体感と、重心はそこに落とすというのは違う話しです。
重心は踵に落として初めて、足の裏の3点が実現します。
「親指に力を入れて」という指導がある場合もありますが、ナンセンスです。前傾になるだけです。前傾になっている結果が外反拇指なのに、なぜそのようなナンセンスが広まるのか不明です。
とは言え、僕も合気道の高段者に「親指のもっと前に重心を落とせ」と言われました。でも本当にそこに重心を落としたら、いつもつんのめっていなくてはいけません。
そしてその先生も実際の重心ははるか後ろにありました。
足裏だけで考えるから、視野狭窄になります。
全身のそれも骨で考えれば、シンプルです。真っ直ぐに立てれば、支えるコストは最もかかりません。
ですから、膝から下で見ると、ケイ骨を真っ直ぐに立てて、内踝に重心を落とすイメージです。内踝の中心です。その真下が「ウナ」となります。
「ウナ」という言葉は高岡理論の重要な用語でもあります。かなり「まといのば」の中でも人口に膾炙(かいしゃ)していると思います。
ただ、バレリーナは「ルルベ」というつま先立ちを多用するため、「ウナ」の意識だと混乱しがちです。「ウナ」を意識しようとしてアテールに落ちてしまうからです。
ですからロジックとしては多少トリッキーですが、「ウナ」はアテールでも床に接地していない、という風に伝えてきました。
ただそれではシンプルさが失われます。
ですから、少しずつ「内踝」の意識へと切り替えていっています。
気功技術としても「内踝」に統一しています。
内踝ですと、アテールでもルルベでもソッテしても意識を継続できます。またタンジュなどに応用が効きやすいというメリットがあります。タンジュを美しく見せようとするときに、気功技術「内踝」はとても便利です。
抽象度を高くして、シンプルに言えば、足を徹底的にゆるめるということに尽きます。そのことで、美しいつま先も、タンジュも、バレリーナの重心も実現します。
もちろん永遠の憧れである5番ポジションも同様です。
新体操選手並のI字バランスも同じことです。
気功を用いて、論理を理解して、足首をゆるめれば、美しく、甲の出たつま先に生まれ変わることは十分に可能です。