最近よく思うのは…数学を教える仕事を30年ほどやってきているけれど、私の中身は今も「機械屋さん」だなといういこと。
私は、数学科の出身ではない。
機械工学科で数学を道具として使う側…いわば数学ユーザーで。
…そんなことを考えていたら、大学時代にクルマをつくっていたことを思い出した。
高校の頃から興味をひかれていたホンダのソーラーカーが、最初の動機で。
セル自体は曲がらないのに、全体としてはぬるっとした3次元曲面になっているのもおもしろいなと。
大学に入学した年に、ホンダドリームが世界大会で優勝したとかだったと思う。
で、私もあれ、つくりたいって。
よく話をしていた内燃の先生に「ソーラーカーつくりたいんです」って相談したら、
「ウチは国立でお金ないからねー…。エコランなら、10人集めてきたら応援してあげるよ」と。
エコランて何???って調べたら、ガソリン1ℓで何㎞走れるかを競うもので。
クルマつくれるなら、これもおもしろそうだな、と思った。
で、さっそく、授業が終わったところでクラスのみんなに声かけて。
「みんな、ちょっと聞いてー!自分たちでクルマつくって、レース出ようよ」
機械工学科はクルマ好きの巣窟だったからね、その場で10人集まった。
で、そのまま先生のところへ行って、エコラン同好会、発足。
先生が「まず…自動車部のところにカブのエンジンが落ちてるから。話して、もらっておいで。調整してバランスとったら300㎞くらいいけるから。」
……エンジンが…落ちてる???
行ってみたら、本当にカブのエンジンが落ちてて。
もらってきたはいいけれど…汚れてドロドロ。
……これ、どうするの?
ってことで。
順番とか分からなくならないように、慎重にバラしていく。
パーツを1つ1つ、丁寧に灯油で洗う。
順序や位置を確認しながら、組み直す。
……マンガみたいに、ネジ1本余る。
でもここにあるってことは、これに付いてた必要なネジだよね? と、どこで抜けたのかチェックしながらまたバラしていったら…かなり最初だった(笑)。
で、きれいになったけど、これをどうしたら動くようになるのかもよくわからない。
そしたら先生が、近くの高専の先生を紹介してくれて、エンジン持ってみんなで教わりに行った。
やり方を教わりながら何度も火花を飛ばして…ついに…
エンジンがかかる。
おめでとー!!思わず、みんなで拍手。
あのボロボロだったのが、ほんとに動いた。
理屈ではわかっていたけれど、実際に動くと、やっぱり感動。
で、ここからは、エンジン班とフレーム班に分けて、それぞれ作業をしていくんだけど…
みんなエンジン班やりたがる(笑)。ああもう。
「エンジン班ってひたすらデータ取って調整するだけだよ?素人だしボア比とかいじれないよ?むしろ1から作るフレームはおもしろいぞ」と、なんとかメンバーを引っ張ってくる。
実際、ゼロから考えるフレームはおもしろかった。
そもそも何でつくる?
またしても先生がヘルプしてくれて、中空のサッシをもらってきた。
芯があるから重くはなるけれど…まぁ丈夫だし、タダだしってことで。
で、溶接する? ねじ止めする?強度やら寸法の精度やら考えて。
バイクor自転車のチェーン…どれ使う?ギア比は?歯車はどうする?
カウルは…FRPなんて使えないし…牛乳パックでつくる(笑)?
お金もない。知識も十分じゃない。設備にも限界がある。
でも、ないなら工夫する。
それと…もちろん、自分たちだけで何でもできたわけではなくて。
最初に内燃の先生が道をつくってくれた。
わからなければ、知っている人につないでくれた。
時間を割いて教えてくれる人がいた。
材料を分けてくれた人もいた。
機械工作実習の先生もおもしろがって「エコランやってる人はそれ作ってていいよ」と言って授業中やらせてくれて、単位にもしてくれた。
それらすべて、本当にありがたかったなぁと思う。
それから何年か経って……ついにFRPのカウルが付いたと機械学会誌への投稿で知った。
学科再編で機械工学科がなくなるまで、20年くらいエコラン同好会は続いていたらしい。
自分がいなくなった後も、自分たちが始めたものが続いて育っていたっていうのはなんか嬉しい。
あの頃は、どうしたらクルマがうまく動くか、もっと走るかを考えていた。
今は、数学の指導を通して、どうしたらこの子が自分で動き出せるのかを考えている。
観察して分析して、どこで止まっているのかを探して。
仮説を立てて、試して。
違ったら、また考えて試す。
相手が機械から人の「学び」に変わって。
人には、その人自身の意思も、気持ちも、選択もあるから、まあ機械とは違うわけだけれど。
でも、私がやっていることの根っこの部分は、あの頃とあんまり変わらないなぁと感じる。
私は数学者ではないし、数学そのものの美しさを語るのも、たぶん得意ではない。
でも、どうやったらうまく動くのかを考えて、試して、つくるのは大好き。
私の中身は、ずっとツナギと安全靴の機械屋で。
だから私は、こんなふうに数学を教えているんだと思う。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
よかったら、メルマガものぞいてみませんか?
ブログでは書ききれない、よりリアルで具体的な
・教室での出来事や、生徒さん・保護者さんとのエピソード
・そこから私が感じたこと、気付き
・数学や勉強のちょっとしたワンポイント
・私自身がトライしていること
などを、お届けしています。
また、新しい講座や募集のお知らせは、メルマガで最初にご案内しています。
ご興味があれば、ぜひご登録ください
▶ メルマガはこちら
Miz’Lab 高校数学のツボでは、Webクラス(伴走サポート)、個別オンライン授業、動画授業、保護者ラウンジ
などを通して、「できるようになっていく」癒しと再起動のサポートをしています。
▶ [公式サイトを見る]
気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。
▶ [お問い合わせはこちら]
Miz’Lab 高校数学のツボ