拗ねて不機嫌だった子が、自分の道を歩き出すまで  ~人は、“自分でいていい場所”で変わっていく~ | 高校数学のツボ|未来の選択肢をひらく伴走型数学ラボ

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彼女に出会ったのは高1の始めころ。

 親御さんに連れられてきて、拗ねて不機嫌で、やらされてる感満載。

附属の女子大に上がればいいやって投げやりで。

その頃の定期テストは平均点に届かないくらい、模試の偏差値は40台。

 

授業では「ちゃんと聞いてます」ポーズと返事をすることにエネルギーを使って消耗して、中身が頭に入っていってない感じだった。

そんなに緊張しなくて大丈夫だよ、ここは怖くないよって伝わるように接していくことで、少しずつ少しずつ力みが緩んでいって。

 

そこから徐々に 質問が出るようになり。

解いて途中で詰まったノートを見せてくれるようになり。

それから定期テストで平均点を上回り、冬には80点以上取るようになっていた。

 

ちょうどその頃「ちょっと相談があるんです」と。

「実は、本当は化学が好きで興味があって。高2の文理選択で理系選択するの、どう思いますか?」って聞かれた。

 理系に行くなら今やってる教科書や問題集だと、どのくらいのレベルや仕上がりが必要になるか等を話して。

簡単ではないけど、やるならできると思うよって答えた。

 

彼女は、最初は自分の気持ちを表に出すタイプではなくて。

親戚の中で進学先を比べられたりして、 何気ない一言に、きっとたくさん傷ついてきたのだと思う。

実際に、お父さんがふとした拍子に本人の前で 「この子が偏差値60を超えるとは思わなかった」と口にしたこともあって。

それを聞いたとき、私はちょっと悲しくなった。

 

だからこそ、あの日のことは、今でもはっきりと覚えている。

「ちょっと相談があるんです」 少し遠慮がちに、でもまっすぐな目でそう言ってくれたとき。

 …ああ、この子の中には、ちゃんと「自分の意思」が生きていた、と。

最初ちょっとだけ驚いて、そして、すごく嬉しかった。

 

彼女にとって私は、もしかしたら「自分でいていい場所」だったのかもしれない。

以前は言えなかったこと、日々のモヤっとした気持ち、そして、本当はどうしたいのか、

少しずつ、話してくれるようになった。

 

それから彼女は理系コースに進み、偏差値で言うと最終的に20アップして、一般試験で複数の大学に合格した。

そして卒業していった後も、折に触れて連絡をくれる。

大学院に進むことにしました、奨励賞もらえました、専門を活かした就職が決まりました、仕事では毎日楽しく実験しています、などなど。

 

一番うれしいのは、合格したことでも、偏差値が上がったことでもなくて。

本当にやりたい道を選んでいったこと。

そして、毎日を楽しむ大人になっていったこと。

 

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