数はどこからきて、どこへいくのだろう?
とても壮大で興味深い問いかけです。
普段、当たり前のように接している 「数」 ですが、
あらためて考えると、不思議な気持ちになります。
数って何だろう?
ここでは、数について考えてみたいと思います。
1,2,3,4,5,・・・
というような数を自然数といいます。
羊が1頭、2頭、3頭、・・・
と数えるように、これは最も自然な数といえます。
ただ、自然数はたし算はうまくできるのですが、
ひき算になると困ったことが起こります。
大きい数から小さい数をひくことはできますが、
3-5 のように小さい数から大きい数を
ひくことができないからです。
つまり、マイナスやゼロの考え方が必要になるのです。
・・,-2,-1,0,1,2,3,4,・・・
というような数を整数といいます。
これは自然数にゼロとマイナスの数を加えた数のことです。
整数の考え方は、日常生活で使うでしょうか?
たとえば、100円お金をもらうことを、
プラス100円と考えると、
逆に100円お金を借りることは、
マイナス100円と表現できます。
借金ですね。
このように、マイナスの考え方もさりげなく日常で使っているのです。
数学的には、整数の世界を考えると、
たし算やひき算が自由にできるようになる、
という利点があります。
2つの整数を、たしても、ひいても、必ず整数になるからです。
これが自然数と整数の数学的な違いです。
そして、
自然数 → 整数
と数の世界が広がったと考えることができます。
ところで、整数では、たし算やひき算、かけ算はうまくできるのですが、
今度は、わり算ができないことがあります。
2÷3 のように整数にならずに、分数になる場合があるからです。
そこで、整数と分数を合わせた数を
有理数といいます。
有理数になると、(0でわることを除いたら)
たし算、ひき算、かけ算、わり算がすべてできるようになります。
たし算、ひき算、かけ算、わり算のことを四則演算といいますが、
数学用語で、「有理数は四則演算で閉じている」 といいます。
自然数 → 整数 → 有理数
と数が広がり、四則演算が自由にできるようになりました。
日常生活でも、ピザを3等分するときは、
1/3 ですから、分数となります。
ですから、有理数も日常で現れます。
有理数までくると、もう数は充分なように思えますが、
まだここに入っていない数があります。
それは、円周率です。
3.14と習いますが、正確には、
3.1415926535・・・
と無限に続く数なのです。
たとえば、
0.234234234・・・
のように繰り返す(循環する小数)は、
26/111 =0.234234234・・・
のように分数に直すことができます。
しかし、円周率は分数で表せないことが知られています。
このように分数で表わせない数のことを無理数といいます。
円周率以外には、ルート2なども無理数です。
(1.41421356・・・)
有理数と無理数を合わせた数を実数といいます。
果たして、無理数は日常で現れるでしょうか?
実は、無理数も日常で現れているのです。
身近な例では、A4サイズやB5サイズの用紙の
タテとヨコの長さの比率は、1対ルート2と定められています。
これは実用的な比率で白銀比と呼ばれています。
黄金比も無理数です。
黄金比は、だいたい 1 対 1.618 くらいの比率ですが、
正確には、
1.6180339887・・・
と無限に続く数なのです。
(1とルート5をたして、2でわった数です)
黄金比は、人間にとって最も美しい比率といわれていて、
ギリシャのパルテノン神殿やミロのビーナスに見られます。
ですから、私たちの日常生活には、
実数まですべてみることができるのです。
ここまでをまとめると、
数は、次のように広がることが分かります。
自然数 → 整数 → 有理数 → 実数
自然数から始まり、
だんだんと数の世界が広がってきたのです。
実数まで数の世界が広がることで、
四則演算がすべてできて、
無限に続く数も入っていて、
数学的には、すべてうまくいくことになります。
そして、
私たちの世界は、数で満ちあふれていることが分かります。
歴史的には。必ずしもこの順番で、
「数」 が発見されてきた訳ではありませんが、
数学的に整理すると、
このような順序がとても自然なのです。
マイナスや無理数までいくと算数の範囲を超えていますが、
算数を教える人も、
このような数の背景を知っておくことが大切です。
なぜなら、これが数の本質的な広がりだからです。
◆ さらに詳しくは、私の本 『数の世界』 をご覧ください。
数の世界 自然数から実数、複素数、そして四元数へ (ブルーバックス)
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『数の世界』 では、
自然数から実数、複素数、四元数、八元数への「数の広がり」
について、数学的に詳しく書かれています。
◆ 数のひろがりに興味はある方は、次をご覧ください。
◆ 算数・数学コラムの一覧は、次をご覧ください。
【執筆者】
松岡 学
数学者、博士 (学術)
高知工科大学 准教授
大学で研究や教育に携わる傍ら、
一般向けの講座を行っている。
アドラー心理学の造詣も深く、
数学の教育や一般向け講座に取り入れている。
音楽 (J-POP) を聴くのが趣味。
ファッションを意識し、自然な生活を心がけている。
出版物:『数の世界』ブルーバックスシリーズ、講談社。
『5歳からはじめる いつのまにか子どもが算数を好きになる本』スタンダーズ社。
『キララな恋愛や結婚生活を送るエッセンス』CLAP。
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