矢野顕子のアルバム「OUI OUI」に“Happiness”という不思議な雰囲気の曲が収録されています。
 曲の内容は、「幸せそうに見えた人と人生を取り替えたけど、そうでもなかった」といったものです。
 そういえば、アラン・ドロン主演の名画『太陽がいっぱい』(最近、『リプリー』というタイトルでマット・デイモンを主演としてリメイクされています。)では、他者になりすまして人生を送る者の悲劇を描いていました。

 どんなに他者の人生をうらやましく思っても、自分自身が幸せにできるのは、自分の人生しかないと思います。
 もし仮にその「うらやましい」人生を送ることができたとしても、うらやましく思った時点で、既に他者の人生で幸せになる事は不可能です。
 恐らくは自分の人生を否定して他者の人生を「うらやましい」と感じるのであれば、どんな人生であっても、結局は「自分の人生」である限りは他者の人生を「うらやましい」と感じる感情もそのまま残ります。だから結局は、「そうでもなかった」となってしまうのです。

 では実際に「そうではなかった」のかといいますと、それは一概には言えません。
 例えば、世界一の金持ちであるビル・ゲイツが幸せかどうかなど、本人にしか分かりません。ただ言えることは、彼の人生において幸福になる権利は彼にしかない、ということです。

 もちろん、自分の人生で幸福になれる権利は、自分にしかありません。

  確かに誰でも、自分よりお金持ちの人や、スタイルや容姿が良い人対して、「うらやましい」という感情を持ちます。それは普通のことだと思います。
 ただ、その感情は、あくまで自分自身の人生へプラスに作用させるように、ある種の目標と考えるべきでしょう。
 決して、自分自身の人生そのものを否定するような「うらやましさ」であってはいけないと思うのです。