再投稿!『グランド・マスター』 | 日々是(ひびこれ)デス・ロード

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自分の好きなものについて垂れ流していくブログです。基本ネタバレ全開なんでそこんところ注意。



〜男ならトニー・レオンやチャン・チェンのハードボイルドさに惚れろ!!〜

1930年代の中国。
北の八卦掌の宗師ゴン・バオセンは引退を決意。
そこで、バオセンは南の詠春拳の宗師イップ・マンを後継者の候補と考えイップ・マンと接触した。
また、バオセンの娘ルオメイも自ら名乗りを上げ、イップ・マンと戦う。
そして武闘家として惹かれ合うイップ・マンとルオメイ…。
一方、バオセンの暴走する弟子マーサンはバオセンを殺害。ルオメイは父の復讐を誓うーー。


一番好きなアジア人俳優は誰か――。
前にユン・ワーだと言ったな。
あれは嘘だ。

まぁユン・ワーも非常に捨てがたいわけだが、やっぱアジア人俳優の中で最も好きなのはトニー・レオンでしたわ。
飾らない素朴な人柄、滲み出るエレガントさ、仔犬のような眼差し……。
そして何よりも、やっぱ持ち前のトニー・レオンスマイルですよ!!

というわけで、トニー・レオン映画は本当にロクに観てないんだけども、個人的にイチオシなトニー・レオン映画の一作であるのがウォン・カーウァイ監督作の一大カンフー叙事詩『グランド・マスター』です。

ということで、定期的に無性に観たくなる映画『グランド・マスター』について、再び書こうと思います。


『グランド・マスター』は、まぁ…いわゆる「オサレ系カンフー映画」の一つだと思うんですが、本当にね、美しいのです。

まず目を惹くのがその圧巻の映像美!
雨、雪、蒸気――閑散とした雪国の自然の情景はどこか寂しく、また非常に美しい。
そして、冒頭のトニー・レオン扮するイップ・マンやチャン・チェン演じる“カミソリ”のそれぞれの雨の中での戦いは、モノトーン調で映える映える!!
もう、本作は映像美が激ヤバなので、ワンシーンワンシーンが本当に映える映える!

本作のメインストーリーは恐らくはチャン・ツィイー演じるルオメイの復讐劇であると思いますが、非常にあっちゃこっちゃごっちゃしている。
が、やはり映像美とそのオサレ感で許してしまう感じなので――良し!!

(↑本作は主に彼女の数奇な、儚い運命を描いている)

そして、トニー・レオン!
黒装束に白いハット。そのノワールなファッションがガチで超かっこいい。
加えて、やはりトニー・レオンはトニー・レオンなので面構えはもはや言わずもがなという大満腹状態。
しかもである!
更にそこに加えて吹き替えの小杉十郎太ボイスがピタリと合うというこの秀逸さはなんだ!!
(↑ベリーエレガントイップ・マン師匠!)

例えば、ドニー・イェンのイップ・マンが「気の良い近所の武術の達人」という根っからの庶民派だとすれば、トニー・レオンのイップ・マンは「ハードボイルドな武術の達人」とでも言おうか…。
そして、トニーイップ・マンはやはりトニー・レオンということもあって、嫌なブルジョワ感が皆無で非常に良い意味でお上品でエレガンツなのがミソ!さっすがトニー・レオン!!
このトニーイップ・マンの前では、俺はいつも姿勢を正さざるを得ない。

ハードボイルドなトニー・レオン、豪華絢爛なチャン・ツィイー。
そして本作の目玉はもう一つ。
スーツをパリッと着こなした、一体何のために出てきたのかよく分からんチャン・チェンだ!
この映画はファッションが実に上品であり、そして役者達がそれを見事に着こなしているが、このチャン・チェンもまた然り。
チャン・チェン演じる“カミソリ”は八極拳使い。
(恐らく)チャコールのスーツ姿に七三分けと口髭がよく似合う本作のチャン・チェン。
そのアクションはダイナミックかつスタイリッシュ!キビキビとしていて非常にかっこいい。
実は本作を見直す度に個人的にはカミソリが一番かっこよくなってくるというのは(言っちゃったけど)秘密だ!
因みに、本作の役作りで八極拳の修練極まったチャン・チェンは八極拳の全国大会で優勝したらしい。

アクションシーンでは、個人的には冒頭での雨降る中のイップ・マンやカミソリの戦闘シーン、あとはイップ・マンがバオセンと戦うに際して他流派の師匠たちがイップ・マンに“餞別”をくれる一連のシーン、クライマックスのルオメイとマーサンの戦いが何度観ても大変良い。


本作は本当に上品な映画である。
何度観ても一向に飽きない。

たとえ、クライマックスの満鉄車両が無駄に沢山あってもだ!!

男なら『グランド・マスター』のトニー・レオンやチャン・チェンのハードボイルドさに惚れろ!!
である!!