〜父から受け継ぐ十手と捕縄!遂に決め手の銭が飛ぶ!人呼んでヤツの名は“銭形平次”!!〜
目明しの父を持ちながらその跡を継がずに博打に身を堕す鳶の青年・平次。
ある夜、賭場で御縄になった平次は父の代から恩のある与力の筆頭・笹野新三郎によって放免となったが、恋仲であるお静の父親で親方の政五郎に案の定たっぷりと絞られてしまう始末。
そんな政五郎があくる日、水死体となって発見される。
三輪の万七によって政五郎は女性との心中として片付けられてしまうが、対する平次は死体の数々の不可解な点を指摘。
そして、政五郎の死の真相を明らかにして真犯人を捕まえんとする平次は、鳶を辞めて笹野の下で岡っ引きになる決心を固めるのだった――。
テレビドラマでお馴染みの言わずと知れた大川橋蔵の銭形平次。その「ビギニング」というか「エピソード0」というか、そういった映画が存在します。
それが、映画版『銭形平次』!
お静とガラッ八のキャストをがらりと変え、ヤングでフレッシュな若侍を好演する舟木一夫、そして笹野様役には重鎮・大友柳太朗を迎えた本作、やはりまさに「銭形平次/ザ・ビギニング」と呼ぶに相応しい映画。
因みに、原作では第一話「金色の処女」で平次は20代はじめにして既に笹野様の下でバリバリの岡っ引きをやっております。
なので、本作は完全なオリジナル設定作品。
で、本作の平次は本当に青臭い。大川橋蔵のその演技が流石だと思いますよ。
そんな若き血潮が燃えたぎる平次がもう突っ走る、突っ走る!!
江戸の闇を舞台にしつつも、平次のその一迅の爽快感が素晴らしいのです。
今は亡き目明しの父に反抗し荒れた人生を送っていた若き日の平次。そんな不良の平次は鳶の政五郎に拾われ一介の鳶として暮らすもギャンブル中毒が一向に抜けない始末。
挙げ句の果てにお縄になる始末だが、そこは政五郎が笹野様に頭を下げたことで放免に。
笹野様も甘い。
こんな相当な悪ガキだった若き日の平次は政五郎の死に直面したことから、お静との関係を絶ち父と同じ道を歩む決心を固める。
幼い頃から十手持ちの心得や捕縛術、必殺の投銭を父から習っていた平次は短い尺の都合もあってか大体最初からそこそこ強い感じ。
が、やはりそこは武士ではないので命のやりとりではイマイチ煮えきらないのであった。
で、そんな平次のピンチを助けてくれたのがゲスト出演の謎の若侍・舟木一夫。
非常に青臭くてなんかせかせかしている本作の大川平次。それと比べて飄飄として余裕たっぷりで嫌味全く無しな舟木一夫の方が安定感があって目立ってますな。
そんな舟木一夫が非常にカッコいいんですよ。
で、謎の若侍・舟木一夫の正体は笹野様の甥っ子でしたというオチ。
非常に未熟な本作の平次は十手術も未熟、二枚目半寄り。但し投銭だけは安定の強さ。
江戸の闇の部分を舞台にしたダークな本作は江戸の暗黒街とそこの人々の描写が素晴らしい感じです。
江戸の街の絶妙な汚れ具合がたまらん。
本作の悪役ポジションである“千里の虎”とその軍団はかなりダークな存在であり、平次の幼馴染の博徒の辰之助という男がその正体。
今回のお悩み相談な上州屋の主人が若き日に出来心からお上にチクったせいで奈落にまで身をつき落されて社会の最底辺で育った辰之助。
辰之助は上州屋に復讐を誓っていたのでした。
で、その辰之助は大捕物の末に笹野様の同僚である尾関に斬り殺される。
そう、本作の真犯人はこの尾関なんですが、最初からはっきり言ってバレバレ笑
故にこの映画は大川橋蔵と舟木一夫を愉しむ映画ですな。
あと、笹野様役の大友柳太朗が原作の笹野様のイメージそのまんまで大変良かったです。
笹野様の中間管理職の悲哀っぷりに泣けますな。
で、本作のアクションアドベンチャーっぷりは原作を思わせます。
大掛かりなセットでのアクションシーンはいちいちガチで鳥肌もん!
銭形平次の未熟な十手術にヤケクソな喧嘩殺法と投銭、対する舟木一夫の見事なカット?の繋ぎを駆使した華麗なる剣技が超素晴らしい!
あと、若き日のお静さんが危機に瀕するのは原作と同じ笑
黒幕の尾関と平次の最終決戦は迫力満点!
血みどろになりながら頑張る平次だが、尾関も負けてない。
そんな中、深手を負っている辰之助が決死の思いで平次に助太刀してくれるのが泣ける。
平次の腕の中で事切れる辰之助が凄い迫力の演技です。
そして全てが終わり、お静さんのハートと“銭形平次”の通り名を見事ゲットした平次。
岡っ引きとしての華々しいスタートです。
原作とは設定は違えども、銭形平次のエピソード0としては満点だと思います。
『バットマン・ビギンズ』然り、こういうエピソード0的なやつに俺は非常に弱い。
こういう“手作り感”というか、職人技が光る感じが映画好きとして非常にたまらんです。
映画『銭形平次』、非常に満腹大満足で御座いました!!