クウェートにて ~その3(盟友、アデミール・ダ・コスタ師範と再会)
クウェートで極真会の旧友であるアデミール・ダ・コスタShihanと会った。彼はクウェートでの昼食会に、少し遅れて現れ、突然、私の後ろに立っていた。誰か来たと振り返ると、一瞬、誰だかわからなかった。
アデミール・ダ・コスタShihanも歳を重ね、頭髪は白くなっていた。アデミール・ダ・コスタ氏を認識しすぐに私はハグをして、再会を喜んだ。
そのあとは、彼の独演だった。彼はいつも明るく、正直だ。簡単に言えば、一緒にいて安心感がある。そんな彼は、空手の話に及ぶと、少しだけ極真空手の現状について嘆いていた。そして、なぜ彼がクウェートに住んでいるかを説明してくれた。
彼はクウェート人の弟子に招かれて、クウェートで空手を教えているらしい。そして現在、毎日が空手づけの生活で。彼は満足と安心を得ているようだ。私には彼の心境が少し理解できた。
私が見るアデミール・ダ・コスタShihanは、非常に正直、かつ素直な人物だ。私は20年以上も前に彼と彼の弟子を日本に招待し、IBMAが主催する大会に参加していただいた。それ以来、私は彼とは会っていなかった。だが、彼とは同じ時代を共有する者同士ということのみならず、極真会の問題を理解し共有できる盟友だと思っている。他の人たちは、その問題を共有できない。なぜなら、みんな口を塞いで、なかったことのように生きているからである。
その点、彼は今も自分の理想を追求しているようだ。その点は共感できる。だが、私は彼ほどまっすぐな生き方をしているわけではない。
ただただ私は「あるべき姿」、すなわち「理想」を目指して生きている。その生き方を例えれば、絶えず「北極星」を目指して歩み続けるだけである。あるいは「水分、養分」を求めて、ただひたすら根を深く、大地に伸ばし続けているだけと言っても良い。
ある意味、人を判断基準にしていない。ただただ、宇宙から人間が与えられた恩恵とは何かを考え続けるのみである。