大会趣意書 | 増田 章の「身体で考える」〜身体を拓き 心を高める
IBMA Freestyle Karate Championships,
Japan Open 2012

                              
大会趣意書
                   

 現在、オリンピック競技に採用されている格闘競技は、レスリング、ボクシング、柔道、テコンドーです。それらの技術は組技か打撃技、どちらか一方に限定されています。その限定により、それら格闘技の技術は向上しました。
 しかしながら、徒手格闘とは、本来、相手を打つ、蹴る、投げるなど、打撃技と組み技、両方の技術を自由に駆使する状況を原点とするものです。
 フリースタイル空手は、徒手格闘の原点に還ると共に、これまで無かった打撃技と組み技を融合し修練する、新しい格闘競技の創出を構想しています。
 さらに申し上げれば、フリースタイル空手(TSルール)は、世界中にサッカーに勝るとも劣らないぐらい愛好者を有する“空手”を基盤にしています。
なぜなら、TSルールとは、柔道をしのぐ競技人口を有しながら、未だオリンピック競技に選出されていない空手をオリンピック競技にすることを夢見て構想したものだからです。
 ここでお断りしておきますが、フリースタイル空手とは、空手流派の代名詞ではありません。クラシックとフリースタイルの2つのルールを有する空手武道競技の通称です。
 この競技(フリースタイル空手)の目標は、異なる流派の人達が、共通のルール(枠組み)の中で“交流”することです。そして、その中で様々な流派に内在する普遍性や良点を理解していき、異なる流派が互いに尊敬し合うことです。
 フリースタイル空手ルール(TSルール)の概要はシンプルです。ただ、これまでの空手競技と異なる部分は大きく分けて2つあります。先ず一つは、格闘技術の優劣を打撃技と倒し技による戦闘力奪取の度合いにおいたことです。もう一つは、その度合いを数字に置き換え選手と観客に知らせることです。
 それにより、これまで不透明だった勝負判定に至るプロセス並びに判定の材料が可視化されます。そして、これまで観客のみならず選手にもわかりにくかった空手競技の判定基準、そして不透明感が払拭されるのです。
 フリースタイル空手は、多様な背景を有する人間同士が名誉を賭して戦うことができる武道スポーツを目指しています。ゆえに伝統的武道団体が有する村社会的ルールを採用するのではなく、外部の誰が見ても納得できる、世界標準のルールを新たに構築しました。
 少しルールについて説明いたします。まず、TSルールは、クラシック、フリースタイル共に“一本”や“技有り”などの漢字・日本語で技判定を行なうのみならず、より普遍的な数字(点数)を使って、技判定とその表示を行ないます。
 そのことにより、空手や格闘競技がボールゲームのように選手のみならず、観客にも理解し易くなります。また、その数字(点数)の設定は、両手の指で数える事のできる範囲であり、誰でも理解できます。例えば、効果1点、有効3点、技有り5点、一本は10点、反則行為による注意は、1点を相手に与えるなどです。そして、10点(一本)を先に獲得することと、規定の試合時間の消化によって試合は終了します。また、フリースタイルにおける“組み合い(組技の攻防)”を、3秒間に制限する事により、打撃技と組技、どちらか一方に偏ること無く融合されます。
 最後に、21世紀の現在、世界には様々な紛争の火種が存在します。それらの問題解決に重要なのは、貧困の撲滅ではないかと私は考えます。また、そこには暴力性の昇華と排他性の緩和が必要です。
 なぜなら、人々が平和に共存できる背景には、必ず暴力の抑制と、地域間の排他性の緩和、そして貧困に対する対策が必要だと考えるからです。
 IBMAが唱える武道人(Budo-Man)とは、自己の強さ、向上を追求する武道家としてのみならず、あらゆる人達と共存共栄を目指す者のことです。フリースタイル空手プロジェクトはそのような武道人の育成を目指します。そして、武道スポーツの普及を通じ、先述の問題解決に貢献することを目指しています。
 是非、武道家のみならず、より多くの人達にフリースタイル空手プロジェクトへのご理解と参加をお願いいたします。

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