ブログを見てくれる方も増え、是非アツプしたいのですが、雑務に終われブログを更新するに時間がありません。
そこで、つなぎと言ってはなんですが、私が数年前に書いた論文を掲載します。時々、つなぎで掲載したいと思います。論文のテーマは空手競技研究です.タイトルは「あたらしい格闘技(武道)スポーツをデザインする」です。
原稿用紙40~50枚になるので少しづつ、時々アップします。小難しく拙論ですけど、ご容赦下さい。次回はしっかりと書きたいと思います。 増田 章
新しい格闘技(武道)スポーツをデザインする
【序文~空手とは何か】
空手黎明期、「飛び蹴り」、「一撃必殺」などの空手技の代名詞が広がった。それから、「ハイキック」、「ローキック」、「後ろ廻し蹴り」、「カカト落とし」などが、それに続いた。
多くの人がその言葉を聞き、空手をイメージした。黎明期、空手は危険だが最強格闘技の触れ込みで売った。
それから数十年の歳月が経ち、空手は危険なものではなくなり、多くの子供が空手を習うようになった。今、空手はどのようなイメージで捉えられているのだろうか。
「空手とは何か」、歴史的な部分を排除し現代の空手の再定義を試みると、「全身の部位を武器化し、打撃技と防御技を駆使する武術、また打撃術に加え、相手の関節を極める、相手を投げるなどの技も駆使し、相手の攻撃から身を護り、かつ相手の戦意を喪失させることを目的とする格闘技」となった。
採点は、100点満点で60点といったところだが、再定義の意図は、正確な定義をすることではない。空手というものが正確には定義されておらず、イメージも曖昧だという事、つまり空手は未だ確立されていないということの再認識なのである。
しかし見方を変えれば、空手は最も発展の可能性を有する格闘技のようにも見える。
空手に対する私のイメージは、「突き技や蹴り技(打術)に対し突き技や蹴り技(打術)で対応する」「投げ技や逆技などの柔術に対し打術で対応する」「打術に対し柔術で対応する」など、「円転自在」いかなる敵の攻撃にも対応し自己の身を護る」。というようなものである。
古流の空手流派の技術書や世界最大のフルコンタクト空手流派である極真空手の創始者、大山倍達の技術書にはそのような技法が掲載されていた。しかし現在の極真空手の修練体系には、そのような技法を見ない。
その理由は、多種の空手技法のすべてを修練することは困難であること。また危険な空手技をより多くの人に伝えるためには、修練方法の単純化を図らなければならなかったからであろう。現在、全世界に遍く空手道場が存在しているのをみると、普及という点では、その判断は間違っていなかったのかもしれない。
先般、世界最大の伝統派空手団体が、IOCに空手を新規オリンピック競技種目認定の申請をしたが、不採用になった。何故、採用されなかったのだろう。空手は全世界に普及し、競技者人口も他のスポーツに勝るとも劣らないはずだ。
オリンピック競技不採用の理由は、「観客に対するアピール度が少ない」「観客動員が見込めない」「勝敗の判定が曖昧で観客に理解されない」などが挙げられていた。これは伝統空手を対象の結果だが、フルコンタクト空手でも同じような結果になると思う。
一方空手界には、オリンピック競技化だけが空手道のあり方ではないという意見もある。私が考えるオリンピック競技の認定の意義も、段階の一つに過ぎない。しかし空手道の可能性を最大限に拡げ、世界中の多くの人と将来の子供達の人間教育の手段、装置として空手を再創造するための試金石であると思っている。