2000大会趣意書 | 増田 章の「身体で考える」〜身体を拓き 心を高める
現在私は、仲間と創っているNPO法人 国際武道人育英会の大会の準備に忙しくしております。
猫の手は借りたくありませんが、私の理想を理解してくれる人間が一人でも多くいれば、すばらしいことができる予感があります。

本日は、国際武道人の原点の大会趣意書を掲載したいと思います。はっきり言って、小難しくて面白くないと思います。

現在、私が推進しているフリースタイル空手プロジェクトはもっとシンプルに楽しくプレゼンしたいと思っています。(お前には無理だという突っ込みが聞こえそうですが)

しかし、2000年に作成した拙稿の中にある武道観と志は変わっていません。変わったことは、アプローチの仕方です。それは、なるべく楽しく、そして多様な人達が集えるような仕組みを作るということです。

本日は、昔の小難しい趣意書に眼を通して頂いて、これからの私の変身に期待してください。(最後まで読んでもらえない可能性は高いですが、それでも結構です)

ちなみに私にはプレゼン能力がないという自覚があります。欠点は、話に面白みがないことです。そしてしつこい。その欠点を修正するために、落語の勉強をしようと思ったことがあるくらいです。(笑い)実は私の家族は落語ファンです。落語通といっても良いくらいです。

ゆえにベタな私の性格を半ばあきれ、笑い飛ばします。でも、私の真骨頂は、みんなに相手にされなくなってからです。

今年の大会趣意書は、もっと解り易くしたいと思います。(期待しないでください)
それでは、本日は我慢してくださいね。次回のブログ更新の時は短めにします。

IBMA大会趣意書2000

【社会に異変が起こっています】

家庭内暴力、いじめ、きれる子供達、幼児虐待、ひきこもり等、社会に異変が起こっています。これらの社会問題の原因には「こころ」が深くかかわっています。

深刻さを増す少子化の波、凶悪化する少年犯罪、政治に対する不信感。あらゆる世代の人々の「こころ」の葛藤が、さまざまな歪みを生み世間を侵食 しはじめた結果、我々はかつてないほど複合的な社会不安を内包した時代に生 きることとなったのです。

【「こころ」こそが人間の中心をなすもの】

我々の人間性や人格は、すべて「こころ」が形成します。しかし、「こころ」は現代の急激な科学技術の進歩や、うわべの合理性を追求する風潮の中では、 非合理的であるとして隅に追いやられています。

しかし、先人が示すように心 に理が備わっているのであり、「こころ」こそが人間の中心をなすものです。ゆえに「こころ」を掴むことは、価値観の多様化により混迷が進む社会において まさに次世代への舵を掴むことでもあるのです。

【わが国において】

わが国において、敵から己を守るために生まれた闘争の〈術〉の追求は、時代の変遷と共に「道」への昇華をとげました。武術が我が国の思想の形成と並行し、武道という文化、そして哲学を形成するまでに至ったのです。

その伝統技術は科学の未発達な時代に形成されたにもかかわらず身体の構造 に精通しています。そしてその技の修練の中で育まれた「心法」すなわち「心 の用い方」は、先に述べたような混迷する社会状況において、人間本来の平衡 感覚や自浄能力、成長力を取り戻す鍵となると思います。

武道は命懸けの状況を絶えず想定します。真剣勝負なるがゆえに、その技法 は巧緻を極めています。特出すべきは、武道の技術は、身体的な部分と同時に 心理的な部分、目に見える部分と同時に目に見えない部分に着眼し、その領域 を開拓しています。

近代、スポーツ文化が発達し、その世界でも、メンタルタフネス(心理的強 さ)が研究されるようになり、スポーツ心理学といわれる分野が確立されました。そして現在は、スポーツ選手も心の用い方やあり方を意識するようになりました。

しかし、それは試合において個人の能力を最大に発揮することを目的としたものです。そのため、ややもすると個人主義、功利主義に傾向するきら いがあります。

【武道における心の用い方・あり方(心法)は】

一方、武道における心の用い方・あり方(心法)は、より深い人間洞察と共に社会における人としてのあり方に、さらなる重きをおいたものとして考えられています。

これは武道という概念が、封建時代の支配階層の武士の思想から生まれたものだからです。よって武道思想は個人的な意識だけではなく、社会的な意識を内包し、武士道にも繋がっています。

我々は武道で言う「無心」も武士道で言う「無私」も、意識下で一旦己を無くし彼我一体の境地を掴み、高次元で生きるという教えだと考えます。

【自他を生かす高次の個の確立】
我々は、その境地を指針に、全体主義とも個人主義とも異なる、自他を生かす高次の個の確立を目指していきたいと考えています。そして、武道人の中から次世代を担う人材を育成できたらと切望し本大会を主催してまいります。
2000年1月