5/18 おはクラ放送後の呟き | マーシー山本教授のゆるゆるクラシック日記

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今週もトスカについて語りたいと思います。


『トスカ』は、まるで現代の映画やドラマを彷彿とさせる、スリルとサスペンス、暴力とセックスが交錯するオペラです。

原作のフランス戯曲は、恐怖政治に立ち向かう若き画家カヴァラドッシと、彼の恋人である歌姫トスカの悲劇を描いていますが、プッチーニはその中から政治的な要素を大胆にカットし、トスカの愛と苦悩に焦点を当てました。

プッチーニは、様々な国を舞台にしたオペラを数多く手がけましたが、『トスカ』では珍しくイタリア人女性をヒロインに選びました。

このヒロイン、トスカは信心深くも嫉妬深い女性であり、その性格は多くのイタリア人女性に通じるものです。

イタリアでは、嫉妬は愛の証とされ、適度な嫉妬は相手に喜ばれることすらあります。

しかし、悪役スカルピアはこのトスカの嫉妬心を利用し、敵対する政治犯を捕らえ、自らの欲望を満たそうと画策します。

『トスカ』は音楽的にも革新的な響きを持ち、そのドラマ効果を高めています。

第一幕のカヴァラドッシのアリア、第二幕のスカルピアのアリア、そしてトスカの有名な「歌に生き、愛に生き」。

さらに第三幕でカヴァラドッシが死を前にして歌う「星は光りぬ」。

これら全ての抒情的な瞬間は、トスカという魅力的な女性への讃歌として書かれています。

プッチーニの巧みなメロディーが織り成すこのオペラは、愛、裏切り、そして復讐という普遍的なテーマを、劇的かつ美しい音楽で描き出しています。

トスカの愛のために命をかける姿、スカルピアの冷酷な策略、そしてカヴァラドッシの崇高な愛。

これらが織りなす物語は、時を超えて観る者の心を揺さぶります。

 

『トスカ』は、オペラの持つ魅力を余すところなく詰め込んだ、まさに傑作と言えるでしょう。

 

今回の動画

https://youtu.be/NQ1ju8Ka2v8