今日は、B'zのギタリスト、松本孝弘さんのお誕生日なんです。


今回の個人的アルバム・レビューは、1994年に発表された、B'zの通算7枚目のアルバム「7th BLUES」を。


まさかの2枚組のアルバムで、各10曲入り、トータルでは、100分超えという超大作アルバムなんです。


明らかに、今までのアルバムとは毛色の違う作風で発表当時、かなり、賛否両論がありました。



基本的なフォーピースのバンドに加えて、ブラスセクションや、ストリングスなど、様々な装飾音を、余す所無くに盛り込んでいマスターので、サウンド面では、かなり豪華な印象を受けました。

 


バックのサウンドに耳を傾けると、様々なアレンジを貪欲に取り入れていて聴き応え充分。


ギターだけでなく、ベースやストリングスも派手に動いているので、かなり目立っており、豪華でカッコ良いバンドサウンドが堪能出来ます。


曲調に関しても、ストレートなロックから、ジャズ、ブルース系統のしんみりした曲や、インストまで収録されていて幅広い印象を受けました。


一方、メロディーに関しては、キャッチーさが減ったというか、やや取っ付き難い曲が多くなった感は否めません。



やや捻った展開の楽曲が多いので、一筋縄では

行かない印象。


ミディアム・テンポの楽曲が多いので、パッとしない印象もあるのですが、メロディーが秀逸なのでインパクトは強く、耳に残ります。


ポップな曲もあるのですが、全体的に暗い楽曲が多いので、賛否が別れると思います。



何かと暗いと言われがちなアルバムではありますが、DISC-1は普通に明るく聴きやすいと思います。



「おでかけしましょ」は、割とポップな楽曲ですし「ヒミツなふたり」は明るい楽曲。


アップ・テンポな楽曲が多く、ミディアム・テンポの曲も、ダレてしまわない程度に配置されてるので、割とすんなりと聴けます。


インストから、赤い河と、WILD ROADの流れは抑揚が効いていて最高です。



DISC-2は、1枚目とは反対に、地味で暗く、煮え切らない曲がほとんどです。


メロディはどれもキャッチーではないし、ジャズや、ブルース系統の曲がメインなので、相当聴き込まないと頭に入らないと思います。


DISC2は、かなり冒険してるというか、単純なロックに留まらない、色んなアレンジを取り入れていて、チャレンジ精神が溢れています。


ジャズであったり、ブルースであったり、かなり渋い仕上がりです。



それでも捨て曲などは無く、どれも高いクオリティを維持しています。


メロディーも煮え切らないとは言え、泣きのメロディーがあったり、全体的な完成度は高いです。


後半の5曲は、どれもミディアム・テンポで暗い曲が連続で続くので、かなりしんどいかも?





収録曲

DISC-1

1. LOVE IS DEAD


イントロダクションとして、外国人の電話での会話から挿入されています。


シリアスな歌詞に、打ち込みのオルガンと、生のブラスセクションをフィーチャーしています。


2. おでかけしましょ


TV朝日系の「ミュージックステーション」(1994年3月11日放送回)に出演した際に「Don't Leave Me」と共に披露されました。


3. 未成年


大人の世界に入れてもらえない、未成年を歌っている楽曲。


ギター・ソロ以降の間奏は、生ドラムの代わりにサンプリング・ループが使われたり、エンディングでは、ピアノがソロを取り、ジャズ的アプローチになったりと、目まぐるしく展開します。


また、楽曲の終了直前には「GIMME YOUR LOVE〜不屈のLOVE DRIVER〜」の間奏の一部と同じギター・フレーズが使用されています。


4. 闇の雨


元々は「Mannequin Village」のバック・トラックに、この曲のボーカルラインがそのまま乗ったデモ音源が制作されていましたが、結果として、全く別のメロディーに差し替えられ完成し、2つの曲として独立しました。


5. MY SAD LOVE


昔の恋を煩い悩んでいる女性と付き合っている男性の感情がテーマの楽曲。


6. Queen of Madrid


歌詞は、マドリードについて女性目線で歌っていますが、松本孝弘さんは、スペインのマドリードではないとコメントしています。


7. ヒミツなふたり


歌詞では、倦怠感に差しかかりつつあるカップルの男性側の心情が描かれている楽曲。



歌詞中の「男は無口な方がいいと誰か 歌ったなあ」の「誰か」は八代亜紀さんの事で、「舟唄」の歌詞が元。


8. Strings of My Soul


松本孝弘さんのギターがメロディーを奏でる長編インストゥルメンタル。


9. 赤い河


約1分40秒にも及ぶストリングスのイントロから始まる楽曲。


タイトルは、グランド・キャニオンのコロラド川に由来。


10. WILD ROAD


ハモンドオルガンとディストーションギターが要となっている楽曲。


バンド構成・編曲自体は簡潔ですが、ハモンドオルガンやボーカル、コーラスで厚みが出されています。


B'zの楽曲で唯一、メンバー以外の人物(高嶋りんさん)が、ボーカルのメイン・パートを一部歌っています。



DISC-2


1. Don't Leave Me


14thシングル。


オリコン最高1位を記録。


本作の先行シングル。


2. Sweet Lil' Devil


ギターリフや、バンドのユニゾンが多く、ボーカルを含め、各パートの即興的要素も多分にあり、当時のサポートメンバーとで組まれたバンドとしての一体感が現れている楽曲。


稲葉浩志さんは、ライナー・ノーツで「妹尾さん凄すぎ! みんな凄いぜ!」と、ブルース・ハープを担当した、妹尾隆一郎さんを始めとするレコーディング参加メンバーを称賛しています。


3. THE BORDER


ストリングスのアレンジが前面に出た楽曲。

女性コーラス群やワウエフェクトのかかったギターなど、ファンクやソウル・R&Bのようなアレンジが施されています。


4. JAP THE RIPPER


タイトルは、「切り裂きジャック(JACK THE RIPPER)」に由来。


「JAP」とは「日本人(JAPANESE)」の略称ですが、(大東亜戦争の影響で)侮蔑的意味合いが強く稲葉浩志さん曰く「ミーハーな日本人だから、JAP」と答えています。


5. SLAVE TO THE NIGHT


「ハートも濡れるナンバー 〜stay tonight〜」のリメイク・バージョン。


1分ほどのソロ・ギター・イントロの中盤では、ジミ・ヘンドリックスの「Little Wing」のイントロを引用。


6. 春


泣きのギターがイントロの全編短調のバラード。


曲後半では、ティンパニーが使用されています。


7. 破れぬ夢をひきずって


シンセチックな音色にギターが絡まってくるイントロから始まり、ストリングスによるスローテンポのアウトロで終わる楽曲。


松本孝弘さん曰く「(アレンジを担当した)明石君らしい」。


8. LADY NAVIGATION


8thシングルの全英詞リメイクバージョン。


原曲は打ち込みを多用したアップテンポな、デジタル・サウンドでしたが、こちらは1993年の「B'z LIVE-GYM Pleasure '93 "JAP THE RIPPER"」で披露したアコースティック・バージョンが元になっていて、アコースティック・ギター、ベース、ピアノ、ドラム、ボーカル及び男性コーラスによる、スロー・テンポのアコースティック・サウンドになっています。


歌詞は「LADY NAVIGATION 〜Cookie&Car Stereo Style〜」と大体同じですが、一部が変更されていて「SLAVE TO THE NIGHT」同様、曲構成も変わっています。


9. もうかりまっか


おもちゃの銃の発する電子音で始まる楽曲。


本作中、ブルースという意味では、伝統的な12バー構成のブルース形式に最も忠実な楽曲。


レコーディングはバンドによる一発録りで行なわれら歌詞は全て関西弁で、サポート・メンバーの名前が登場したりと面白おかしく描かれていて、当時、稲葉浩志さんはスタジオで、サポート・メンバーがいる中で歌詞を制作しており、稲葉自身が関西出身ではなかった為、関西出身である、ベーシストに明石昌夫さん(大阪府出身、兵庫県西宮市育ち)に、ニュアンスを確認しながら作詞が進められた。


明石さんは、当時を振り返り、稲葉から「借金を踏み倒して逃げるっていう表現でなんか良い言葉ない?」と尋ねられて「トンズラこく」という言葉を提案したり、「裏の飲み屋で朝まで行きましょうという歌詞で、飲み屋以外のいい言葉ない?」と、尋ねられて「お好み」という言葉を提案したり、歌詞には明石さんのアイデアが多分に含まれています


また、明石さんは歌詞にサポート・メンバーが登場する事について、レコーディングの際には知らされていなかったとの事で、演奏中にらいきなりメンバーや、自分の名前が登場した他に、大笑いしながらのレコーディングだったと当時を振り返ってます。


10. farewell song


ブラス・セクションのイントロから始まる楽曲で、全体的にコーラスやホーン、ストリングスが大々的に取り入れられている楽曲。


エンディングは、The Beatlesの「Hey Jude」を意識したものになっています。


ちなみに、曲の終了直前の歓声の中に、よく聴くと「こひしかるべき〜」と「LADY-GO-ROUND」の一節が歌われているのが分かりますが、これも、The Beatlesのオマージュです。