取締役これだけは知っておきたい法律知識/北河 隆之

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少し古い本だけど、いちおう新会社法には対応していて
わかりやすかったので、図書館で借りてみた。
■取締役 所有と経営の分離
出資者(株式会社の場合は株主)から経営を任されている
株主総会の普通決議で選任される
議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、
出席した株主の議決権の過半数で行われる決議
取締役会設置会社は3人以上、任期は2年以内が原則
雇用関係ではない(労働基準法など各種法規則が働かない)
委任関係(委託+受託)
使用人兼務取締役
従業員と取締役の地位を兼ねる者
■取締役の義務 善管注意義務 その地位に応じて一般的に要求される程度の注意義務
忠実義務 法令・定款・株主総会の決議を遵守、忠実に職務を行う義務
自己と会社の利益が相反する場合、会社の利益を優先させるべき義務
競業避止義務 競業取引(取締役が自己または第三者の利益のため、
会社の事業の部類に属する取引)をする場合、
事前に会社の承認を得ることが必要
利益相反取引(取締役個人の利益になるが、会社には不利益にしかならない行為)
相互の監視・監督義務
代表取締役や他の取締役の行為が、法令・定款に違反していないか監視し
不適正な行動がある場合はそれを是正する義務
これらの義務に違反した場合、
債務不履行責任として民法上の損害賠償責任を負う
さらに会社法で任務懈怠(けたい)責任を課している
任務懈怠責任 善管注意義務・忠実義務に違反した場合のほか、
競業取引や利益相反取引の規制に違反した場合、
法令・定款に違反した場合を広く含む
任務懈怠行為が取締役会決議に基づいてなされた場合、
その決議に賛成した取締役も同じ責任を負うこともある
→過失責任(不注意があった場合にだけ負う責任)なので
注意を怠らなかったと立証(証明)できれば責任を免れる
子会社の取締役といえど、
子会社の利益に反して親会社の利益に沿う行為は、損害賠償請求を受けることも
経営判断の原則 取締役の行った経営上の判断が、その時点において、
一定の相当性・合理性をもつような場合、取締役は責任を負わないという考え方
会社の経営上の判断には不確定要素が多く、判断時点では緻密に検討して
判断しても、結果的に判断が誤りで会社に損害が生じる場合があるから。
1.事前に十分な調査をしている
2.十分な論議と検討を行う
3.合理性のある判断か
利益供与の禁止
会社が株主の権利行使に関して株主などに財産上の利益を与えることは禁止
例.総会屋の要求に応じて金銭を払う
取締役の待遇・退職金・報酬・賞与 → 定款または株主総会で決める
会社法上の資格制限(欠格事由)
1.法人
2.成年被後見人または被保佐人(精神上障害)
3.会社法、証券取引法、民事再生法、会社更生法、破産法などに定めた
罪を犯して刑に処せられ、執行終了日または執行を受けることが
なくなった日から2年を経過していない者
4.その他の犯罪を犯して禁固以上の刑に処せられ、
執行が終わるまでの者、または執行を受けることがなくなるまでの者
国家公務員法、地方公務員法による資格制限
1.在職中の公務員
2.離職後2年を経過していない公務員
従業員が他社の取締役になれるか?
従業員としての義務(競合避止義務、秘密保持義務など)に
抵触しないことを確認する
辞任
会社や代表取締役に意思表示をした時点で効力発生
自筆署名の辞任届を受け取っておく(立証のため)
2週間以内に辞任登記が必要
■取締役会 会社の経営上の重要事項の決定
業務執行のうち日常的なものは代表取締役に委任できるが、
重要な財産の処分と譲り受け、多額の借財、
支配人その他の重要な使用人の選任・解任
重要な組織・支店・拠点の設置など
3人以上の取締役で構成しなければならない
取締役、監査役 の全員に招集通知
過半数の出席で成立、出席取締役の過半数で決議
代理人はたてることはできない
特別利害関係人は決議に参加できない
大会社(資本金が5億円以上か負債合計が200億円以上の株式会社)である
取締役設置会社では、取締役会は「内部統制システム」設置が義務
■代表取締役 会社の対外的代表機関として
会社の業務に関する一切の裁判上や裁判外の行為を行う権限
定款に基づく取締役会の過半数の互選か、株主総会の決議 で選任される
法律的には、社外取締役でも常勤でなくてもよい
取締役会への業務執行状況の報告義務
■株主総会 会社の最高意思決定機関
決算確定、剰余金配当 などの権限をもつ
■剰余金の配当 会社があげた利益を株主に分配
剰余金
会社の純資産額から、
会社に留保しなければならない資本金や準備金を差し引いた額
中間配当も可能
定款で定めれば、
事業年度の途中で1回に限り、取締役会の決議で可能
分配可能額
剰余金の額から
自己株式(会社が所有する自社株)の帳簿価額などを差し引いた額
また、純資産額が300万円を下回る場合は配当は禁止
■株主代表訴訟(責任追及等の訴え)
株主が取締役に「会社に与えた損害を賠償せよ」と訴える
取締役に過失(ミス)があったかが争点に
株主が会社に対して事前請求、60日以内に会社が訴えを提起するか判断
根拠が薄いと判断した場合、裁判所に対して原告に担保提供を申し立てできる
裁判所が株主の権利濫用と判断した場合、担保提供命令を出す
会社の顧問弁護士は株主代表訴訟を担当できない
株主が勝訴した場合、会社に損害賠償が支払われる
(原告の株主は訴訟費用を会社に請求できる)
提訴手数料が1.3万円と安い
役員賠償責任保険に入っておく
損害賠償責任、弁護士費用などを出してくれる
■監査役 使用人を監査役にはできない
子会社の取締役は親会社の監査役にはなれない
■従業員 会社と雇用関係にある
就業規則(賃金や勤務時間、遵守事項を定めたもの)があるのが一般的
競業避止義務
労務提供義務
秘密保持義務
■公務員 国家公務員法や地方公務員法により、奉仕者として
国民全体の利益を図るため「職務専念義務」を負う
私企業から隔離するため、会社や民間団体の役員や顧問の兼任や
自ら営利を目的とする企業を営んではならない
特に国家公務員は、離職後2年間は、その離職前5年間に在職していた
人事院規則で定める国の機関と密接な関係にある会社の役員にはなれない
