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私はもちろんそれ見て知った人間だった。ただそれを理解しなかったのだ。その戦いは3年間続き、1年に一回ずつ3回行われ、最後に私は殺されるところだった。幽体離脱で死んだり、殺されたりしたらこちらの私はどうなってしまうのだろう……
(続く)
《オリオン・ミッション…死者は語らないNO309》
その疑問に答えを見出すには十年ほどかかった。向こうの世界で死ねば肉体次元でも死ぬ。私だけではなく、あなただって幽体離脱で死ねば、こちらの世界でも死ぬことになる。そうやって死んでいった人はたくさんいるのだ。
朝になっても起きてこないと思ったら死んでいたとか、突然死と呼ばれている人たちの中に、そのような誰も知ることのない、何らかの戦いの物語があったのだ。しかしだからといって戦死したとも限らない。
戦いの内容は様々で、血生臭くて勇ましいと決まっているわけではない。ただ向こうからやってくるお迎えの船に乗り込む。たったそれだけのことで、今生を静かに終了させる人もいるのだ。それは戦わないという生き方…死に方だ。どちらかと言うと突然死の殆どはそのパターンではないかと思う。
その寸前まで行った人は身に覚えがあるだろう。あなたはただの夢だと思っているのかもしれないが、たまたまうまい具合にこちらの世界に戻ってこられただけのことだ。おかげで死が一歩手前だったあの世への帰還は、単なる夢で終わってしまったのだ。
そのまま逝ってしまった人たちは、そのことについて何も語ることはない。死人に口なしなのだから。そこは永遠の謎という壁に遮られている。まるでブラックホールのように一切の情報がこちらの世界には伝わらないのだ。
臨死体験者の語る死後世界は、酸素不足に陥った死にかけた脳が見た夢として片付けられる。もし今あなたが闇と光の現象に日夜かき回され、精神錯乱の状態にあるのだとしたら、そこにとどまり続けるべきだ。
私にはそれは最大の僥倖だと言う資格はないが、しかしそうなのだ。そこから逃げ出してはいけない。それで死ぬことはない…はずだ。笑スピ霊能者や、成りすま師救世主は霊障とか悪魔に憑依されている…そんなことしか言わないバカどもだ。そんな連中からこそ逃げなければいけない。
金縛りに襲われ、奇怪な光が乱舞し、天井や壁から鳴り響く怪音に恐怖する。そんな闇と光の現象から逃げてはいけない。私は今も灯りをつけたまま酔っ払って眠り続けたあの90年前後の2年間を失った時として感じている。
私にはもっと多くの体験すべき何かがあったのだと思っている。もしあのとき枢(クルル)が何であるかを知っていたら、そしてスマルから転落する事が何を意味するかを知っていたら、それから後の20数年間をこの2年に圧縮することができたろう。
私は全然別のパラレルを開き、有意義で素晴らしい人生を創造出来たのかもしれないのだ。今になってそれははっきりと見えてくる。枢(クルル)という通過儀礼を乗り越えた者は、反転という驚愕の現象を体験する。
(続く)
マサト