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ヘミシンクランキング
覚醒など、お湯をかけて3分で出来上がるカップ麺みたいに簡単にできると喧伝するインスタントスピリチュアルや、ヘッドホンでCDを聞きさえすれば幽体離脱ができると思いこんでいる、お手軽ヘミシンカーさんは何をやっても満足することはないだろう。
(続く)
《オリオン・ミッション…なんちゃって霊能主義NO275》
ヘミシンクは坂本政道氏が日本に導入すると決まっていたわけではない。マスさん以外の誰かがヘミシンクを日本に輸入する可能性も大いにあったのだ。何しろスピリチュアルという点においては、坂本氏はまるで畑違いで場違いな人物だった。
ヘミシンクが日本国内で繁盛するとともに、ますますマスさんのスピリチュアル音痴ぶりが明らかになってきたのだが、それはちょっとした御愛嬌として受け入れられたようだった。むしろそれによって根暗で陰湿なスピリチュアルオタクは、ヘミシンクには見向きもしなくなった。
坂本氏の霊的なものに対する無知や無関心…というよりこの人物には霊や魂、神秘現象や超能力に対する反発すらあったように思えるのだが、何しろT大の理学部物理学科卒のエンジニアなのだから、たとえ自らの神秘体験であっても、それをそのまま受け入れるというわけにはいかなかったのだ。
坂本氏のこのキャリアのおかげで、むしろ気まぐれで興味本位のスピリチュアル野次馬や、ミーハー的な笑スピさんを引き寄せられたように思う。スピリチュアル界の最大多数がそうした、なんちゃって霊能主義者であり、こんな人々がアクアヴィジョンに押し寄せてきたのだ。
ヘミシンクを一般化させるにはそれがむしろ良かったのかもしれない。彼らはカモネギ信者同然だったが離れていくのも早かった。長くても三ヶ月、短ければ3分で去っていった。そしてその後に残った今も真面目にヘミシンクに取り組んでいる人々を吸収する力はアクアにはなかった。
アクアヴィジョンは相変わらず、なんちゃってスピリチュアリストを寄せ集めて細々と営業している。今ではいるのやら、いないのやらわからないほどヘミシンクは廃れてしまい、風前の灯みたいな状態だ。
霊も魂も無視し、超現実的知覚者の神秘体験を《妙な才能を持った人たち》が見る妄想と言い放ったマスさんにとって、ヘミシンクというのはこの人物にピッタリ相性があった、趣味嗜好としてしかないのだ。
アクアヴィジョンがいつまで経っても、学生のヘミシンク同好会のノリから卒業できないのは、マスさんのマンガ的超知覚の趣味嗜好をシェアし合うという、お粗末な営業方針モドキにある。そんなことではまともな人々は寄り付かなくなってしまう。
もし辛辣な真のスピリチュアリストが…それはアクアヴィジョンには決していないような人のことだが…ヘミシンクを普及させようとしたら、果たしてどうなっていただろうか。その場合はとんでもなくマイナーなヘミシンクの集まりが出来上がり、さっさと消滅していたかもしれない。
マスさんより一足早くモンロー研に乗り込み、このヘミシンクをモノにした、某氏がいたのだが、彼は帰国後とんだ変態野郎へと変容し…それもヘミシンク効果だったのだろうか?…ネットからもスピ界からも書店の笑スピ本の棚からも、跡形もなく消えてしまった。
(続く)
マサト