国語の現代文の共通テスト対策のミニ講座をしています。評論文の講座の3回目。「読解力」についてです。
まずは以下の問題に答えてください。
問1
「仏教は東南アジア、東アジア、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム経は北アフリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアにおもに広がっている。」
この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
「オセアニアに広がっているのは、」
①ヒンドゥー教 ②キリスト教 ③イスラム教 ④仏教
問2
「アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。」
この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
「セルロースは( )と形が違う。」
①デンプン ②アミラーゼ ③グルコース ④酵素
10年ほど前「東ロボくん」プロジェクトというロボットに東大を合格させるとう実験が行われました。中心になったのが新井紀子さんです。「東ロボくん」は東大に合格するレベルまではいきませんでしたが、MARCHレベルの大学ならば合格できるまでに行きました。そこで実験は終了しました。「東ロボくん」プロジェクトの中でわかったことは、ロボットが苦手としているのが国語だということです。ロボットには今のところやはり読解力がないということがわかったのです。
コンピューターはある種の刺激に対して、より正解に近いな反応を示すことはできるようになります。しかしその刺激の意味を理解しているわけではありません。人間の作り出したデータを大量に取り入れることによって、より正解に近い反応を示しているだけに過ぎないのです。だからコンピューターの能力がいくら高くなっても、人間の代用にはなりません。
しかしこのプロジェクトが思わぬ副産物を生み出しました。それは子どもたちの基本的な読解力が思っていたほど高くないということがわかったのです。
上記の問題の問1は20%の高校生が間違えたそうです。問2の問題はなんと40%の高校生が間違えたそうです。論理的な思考力が育っていないのです。これは日本の教育界に大きなショックを与えました。
この結果、国語の論理を問う問題が増えてくることが予想されます。
その意味で次のような問題も考えられます。これは野矢茂樹氏の『論理トレーニング』からです。
問3 { }内の接続詞はどちらが適当か選べ。
「ディズニー作品の中では、擬人化された動物たちは、すべて白い手袋をつけていなければならない。ミッキーもミニーも、犬のグーフィーも、牝牛のクララベルも、悪役の義足のピートも、みな白い手袋をはめている。{しかし/ただし}、ミッキーが飼っている犬のプルートーなど、擬人化されないで、そのままものをいわない動物として登場するときには、その必要はない。その場合の動物はどうぶつなのであって、言葉も話さないかわりに、靴も履かず、服を着ることもない。すなわちディズニー世界にあっては、動物たちが昇格して人間化する条件としては、白い手袋が不可欠なのである。かくしてミッキーマウスは、入浴中でも海で泳ぐときでも、手袋を脱ぐことはない。」
以上のような日本語の基本的な論理力を問う問題が出てくる可能性もあると考えています。