志の輔らくごを初体験しました | 松村マサル子の日常に訊け!

松村マサル子の日常に訊け!

役者・松村マサル子の日常で起こったことや感じたことを綴ります

俺が特定の劇団に所属してたのって、もう15年も前になンだなぁ。ソコを辞めてフリーになってからも15年、ソレと同時に今の事務所に入ったから、ウチの事務所とも15年かぁ。ま、直近3年は仕事らしい仕事を受けられなかったけどさ。
だけどその入ってた劇団、毎年ゴールデンウィークにこの下北沢・「劇」小劇場で公演打ってたのよ。今はどうしてンだから知らねぇし興味もねぇけど、下北に来る度に当時のコトを思い出すね。ロクでもねぇ記憶ばっか出てきやがるよ。フム、花輪が並ンでるから今日も何か芝居やってンだね。
ところでだよ、どうも最近、会社の忙しさにかまけて芝居から離れてるなぁって思ってね。まぁね、どうせなら稽古場で暴れたいトコだけど、最近はそういう場もなくなってきて。何しろ地元劇団じゃ俺の暴れを受け止めるだけの器量がねぇし、都内でも、なぁ…。
だったらとりあえずだ、まずは芝居作りの現場じゃなくて芝居を客席から観るコトから始めっか、そう思ったのね。だったらドコ行く?そらぁ決まってンじゃん、下北の本多グループしかねぇって。だけどどうせならよりいい芝居を観たい、だったら総本山・本多劇場しかないって。
昨日時点で会社PCで検索してたのね、今は本多でストレート演劇はやってない。やってるのは志の輔落語、毎年夏の恒例『牡丹灯籠』。
はぁ~、そうきましたか、どンなモンでしょね?だけど志の輔師匠って、俺はWOWOWの中継でしか観たコトがないのよ。『牡丹灯籠』も何年か前にやってる、まぁ、録画だと緊張感が薄れるモンだよね。ライブと映像じゃ明らかに違うに決まってる。どうすっかなぁ…。
ま、袖すり合うも多生の縁、思い立ったが吉日。観てみないコトにゃ始まンねぇってコトもある。うっしゃ、まずは行ってみべぇ。もちろんチケットはないけどね。
…いやぁ、さすがは当代切っての人気咄家。当日券を求める列が本多劇場の階段に列を成して。その様子を見て、俺は一旦踵を返したね。まずはタバコを吸おうと思ってパチンコ屋に逃げたね。ずっと再開発の途上にある下北の街、タバコOKなエリアもなくなってるし。
どうする?どうするよ俺?こンだけTシャツに大汗を滲ませてやって来た本多劇場、劇場ン中はこのパチンコ屋以上に涼しいハズ。公演は途中休憩を挟むらしいから2時間半くらい、出る頃にゃこの汗も乾いてンじゃねぇか?
う~ん…、よっしゃ!行っとけ!いや、当日券があればだけどね。
「当日券ですか…、う~ん…、少々お待ち下さい!」、受付のアンちゃん、師匠の弟子かな、奥に向かってダッシュしてね。そらそうだよな、志の輔の高座で残ってる席なんざあるハズもねぇやな。
ダメならダメって言ってくれていいぜ?もう15時、他の芝居もマチネはねぇし、素直に新宿で飲みに行くから。
「お待たせしました!出入口すぐでよければ席はご用意出来ます」、全然OK、観られりゃ問題ないって。って…、え?マジでドアの横?こういうのは初めてだなぁ、休憩の時はすぐにイスを畳まなきゃだし。まぁまぁ、だけど全然いいッス。何も問題ないッス。
そうね、やっぱいい公演でしたよ。しかも今日は千秋楽、恐らくプラスアルファな話もしてくれてたンじゃね?ただねぇ、休憩を挟ンだとは言え、3時間10分の舞台ってのはなかなかでしたな。俺の目の前の補助席のおネェちゃん、やっぱポジションをよく変えてたね。常設シートと違ってパイプイス、ケツが痛くなるよね。ウン、分かる分かる。
終演後に外に出たらいい感じに夏の夕暮れ、18:15ってのはいいよね。頑張った後はやっぱ新宿だ、冷えたビールは美味いコトだろ。あ、記念にオレンジ色の手拭いを買ってきました。