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超優秀な学者がこういう本を書くのが奥深い。【書評】超ヤバい経済学

超ヤバい経済学/スティーヴン・D・レヴィット

¥1,995
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大ベストセラーの続編。前作は読んでないですが、
噂!だけは聞いていました。(映画にもなるそう
です。)

で、この本。

ジョン・ベイ・クラーク賞という米国で最も権
威ある賞のひとつ(40歳以下の気鋭の経済学
者に送られる。受賞者のうち4割がのちにノーベ
ル賞を受賞!)の受賞者であるスティーブン・D・
レヴィットシカゴ大学教授とジャーナリストのス
ティーブン・J・ダブナーの共著。

身近な事例の通説を経済学の素養を用い、「ほんとに
そうなの??」とひっくり返します。

例えば地球温暖化。

まず、1970年代半ばのニューヨークタイムズの
記事を引用。そこでは「人類は、地球規模の気候に
新しいパターンが現れる一歩手前に立っている」
「この気候変動は世界の人々にとって大きな脅威と
なる」と。

随分前から温暖化の警告はなされていたんだと思い
がちですが、じつはこの頃、問題になっていたのは
逆の「寒冷化」!

続いて、温室ガス効果対策について。

食べ物絡みの温室効果ガスの80%以上が生産の段
階で排出される。とくに牛など胃からの食い戻しす
る動物はメタンを多く出す。牛など世界中の半数う
動物を合わせると、輸送業界全体の排出量の5割以
上!も多い。

だから、プリウス乗って買い物行っても牛肉を買っ
たら温暖化には逆効果と。


他にも売春婦やテロリストなど、「へ~」という
話題が多い。

こういう一般読者にも分かりやすい本を、気鋭の学
者が経済学の知識を使って書く。こういう遊び心は
日本には少ないですよね。


【目次】
説明のためのノート 前の本でウソついてた件
序章 経済学が「ヤバい」とは
第1章 立ちんぼやってる売春婦、デパートのサンタ、どうしておんなじ?
第2章 自爆テロやるなら生命保険に入ったほうがいいのはどうして?
第3章 身勝手と思いやりの信じられない話
第4章 お悩み解決いたします―安く簡単に
第5章 アル・ゴアとかけてピナトゥボ火山と解く。そのこころは?
終章 サルだってヒトだもの

残しておきたい格言がいっぱい。おススメです。【書評】37シグナルズ 成功の法則 小さなチーム、大

小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 (ハヤカワ新書juice)/ジェイソン フリード

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"37シグナルズ"という会社があるそうです。

Webベースのソフト会社で、プロジェクト管理をシン
プルなツールで行う「Basecamp」などが主力製品。

ぼくの仕事に縁がないため、よく知りませんでしたが、
デザインセンスがすばらしく、シンプルな製品を生みだ
して成功する、Web業界のカリスマ的な会社だそうです。

1999年に創業、二つの大陸、8つの都市に分かれた
たった16人の社員で、300万人以上の顧客をもつ。

そんな会社の常識を疑う仕事の進め方を書いた本。

彼らは、財務見通しや5カ年計画は不要。成功の秘密は
オープンにすべきと。

彼らは、"必要なものは思ったより少ない"、と企業が陥り
がちな何かを始めるときにすべてが揃えようとすることを
批判します。

まず始めてみて、必要に応じて変えていく。そのため、むし
ろ身軽なほうがすぐに行動に移しやすい、と。

また、本書では彼らのビジネスの実体験から積み出された
至極のフレーズが満載です。

・「これについて考えよう」ではなく、「これについて決断しよう」。

・「やめたほうがいいものを考える」

・「ひとつの12週間のプロジェクトのかわりに、それを12の
一週間のプロジェクトへと組みかえる」

ノートに書いて、残しておきたい格言ですね。

ぜひ、おすすめです。


【目次】
まず最初に
見直す
先に進む
進展
生産性
競合相手
進化
プロモーション
人を雇う
ダメージ・コントロール
文化
最後に

相変わらずの大前節。キライではありませんww 【書評】お金の流れが変わった! 大前研一


お金の流れが変わった! (PHP新書)/大前 研一

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相変わらずの大前節です。キライではありません。笑

著者の本は何冊か読みましたが、毎度、歯切れがいい。
政権交代は失敗だったと民主党をバッサリ切り、オバ
マもだめだと言い放つ。そして、自慢話をいくつもは
さむところは著者らしさです。

で、この本。

世界の2強である米国と中国。

米国は"黄昏の大国"になり、中国は発展しつつもバブル
崩壊、共産党一党独裁の不確定さが残る。

著者が言う「ホームレスマネー」。投資先を探してさ
まよう4千兆円のお金のことで、ウォール街ファンド
マネージャー、約6百人が運営。儲かるところをいつ
も探し、逃げ足も早い。

米国、中国、日本が金を集められないいま、お金はどこ
に流れているのか。

著者はEUを評価する一方、現在注目している新興国をあ
げます。"BRICs"だけでなく、"VITAMIN"の時代だそう
です。(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、
アルゼンチン、ナイジェリア)。

これらの国は5千万人以上の人口を持ち、平均年齢が
20代から30代前半。低賃金だが優秀な頭脳、また
は勤労意欲をもつ国々だそうです。

米国一国集中から中国/米国の2強、さらに新興国を
含めた多極化へ。そのなかで日本はどうすべきか。

アイデアマンの著者は次から次へと処方箋を提示し
ます。

まずは著者が日本最強の会社と考えるJR。鉄道だけな
くショッピングセンター、電子マネーなど収益に結び
つけています。この鉄道会社のビジネスモデルをセッ
トで他国に売る。

次は原子力発電。著者はMITの原子力工学科博士。今後、
長期的に躍進が見込まれる原子力発電事業は有望。東
芝、三菱重工など日本は世界でも有数の会社です。

他にも築地/勝どき/汐留などの湾岸百万都市構想や減価
償却期間の短縮化など興味深い。

個人的には、チャイナインパクトのほうがデータが豊富
で説得力があったのも事実ですが、バッサリ切りながら
も最後は明るい処方箋をもってくる著者は嫌いでないで
すね。

※この本はレビュープラスさんから頂きました。

【目次】

第1章 超大国「G2」の黄昏
アメリカ―「唯一の大国」はいかにして崩壊したのか
中国―バブル崩壊はいつやってくるか

第2章 お金の流れが変わった
「ホームレス・マネー」に翻弄される世界
EU―帝国拡大から防衛へのシナリオ
新興国―二十一世紀の世界経済の寵児

第3章 二十一世紀の新パラダイムと日本
マクロ経済政策はもう効かない
市場が日本を見限る日

第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
新興国で成功するための発想
日本経済再成長の処方箋