2019.9.30

 一日一季語 秋の蝶(あきのちょう《あきのてふ》)【秋―動物―三秋】

 

 

ひるがへる力も見ゆる秋の蝶   前田普羅

 

*2019.9.29  向島百花園にて

 

前田普羅

雄大な自然を詠むことを得意とし、山岳俳句の第一人者として知られた。もともとは都会人であり若いころは江戸文芸に興味を持っていたが、家財を失って富山に移ってより、その陰鬱な風景や雄大な自然から影響を受け作風にも人生観にも変化を及ぼした。

『春寒浅間山』は美しい日本の野山を詠った普羅の代表的句集で、その山岳俳句は飯田蛇笏などからも評価を受けている。

この句でも、秋の蝶を生き生きと描いているように思えます。

 

 

 

【傍題季語】

秋蝶(あきちょう《あきてふ》)

 

 

 

【季語の説明】

八・九月のころは盛んに飛び回っていた蝶も晩秋になるとめっきり数も減り、姿も弱々しく、飛び方にも力がなくなる。

立秋を過ぎてから見かける蝶のこと。春や夏の蝶にから比べるといくらか弱々しい印象を受ける。冬が近くなるとその数もめっきり少なくなる。

関連季語

 → 蝶(春)

 → 夏の蝶(夏)

 → 冬の蝶(冬)

 

 

 

【例句】

 

万燈の花をはなれし秋の蝶        片山由美子   

その先は墓への小径秋の蝶        山口幸子

秋の蝶付けてくれたる形見分        大島雄作

秋蝶の翅を休める百度石          佐脇葭紅

秋蝶の己が影置く石の上          松本三千夫

 

 

 

【秋の蝶】

秋の蝶は初秋(8月)・仲秋(9月)のころは萩の花に群れ飛んだり秋晴の野や川原に翅を輝かせて盛んに飛び回る。

 

 しかし晩秋(10月)になるとめっきり数が減りその姿も弱々しく飛び方にも力がなくなる。

 

 

 

【アサギマダラ】

アサギマダラを有名にしたのはその渡りのすごさです。春から夏にかけては本州等の標高1000メートルから2000メートルほどの涼しい高原地帯を繁殖地とし、秋、気温の低下と共に適温の生活地を求めて南方へ移動を開始し、遠く九州や沖縄、さらに八重山諸島や台湾にまで海を越えて飛んでいきます。海を渡って1000キロ以上の大移動です。台湾・陽明山まで飛んだのはこれまで5個体が確認されていますが、これなど2100キロの飛翔になります。

 

また逆に冬の間は、暖かい南の島の洞穴で過ごしています。新たに繁殖した世代の蝶が春から初夏にかけて南から北上し、本州などの高原地帯に戻るという生活のサイクルをきちんと守っているのです。季節により長距離移動(渡り)をする日本で唯一の蝶なのです。

 

長らくアサギマダラは各地でキジョランを食べて越冬すると考えられていたのですが、沖縄本島で観察をした人が、4月の中・下旬頃と秋の10~11月頃のある日、突然ものすごい数のアサギマダラが現われたと思うと、 数日でまったく見られなくなる。その後、食草を調べても卵も幼虫も見られない・・・このことから、沖縄で見られるアサギマダラは、集団で移動する途中に 立ち寄るだけではないだろうか、と考えました。

 

そこで、1980年から鹿児島はじめ全国の有志によって、羽に油性ペンでマークをつけて放し、次にそのチョウ が見つかったところを結んで移動経路を調べようという調査が開始されました。マーキングといいますが、このおかげでいまではこのチョウが春と秋に北へ、南へという季節を変えた移動をしていることがはっきりしてきたのです。

大阪を拠点とする「アサギマダラを調べる会」(ホームページがあります)などが中心になって観察組織が作られていて小中学生までマーキングに参加しています。そうした人たちのおかげで近年そのルートが解明されてきていますが、毎年記録が更新されているといってもよいほどです。

 

 

 

今日は何の日

交通事故死ゼロを目指す日

日本政府が「生活安心プロジェクト」の一環として2008(平成20)年から実施。

1年に3回あり、220日と、春・秋の全国交通安全運動の期間中の410日・930日。

 

 

クレーンの日

 

日本クレーン協会とクレーン・ボイラ安全協会が1980(昭和55)年に制定。

 

 

 

主な出来事

894

    菅原道眞の建白により遣唐使の廃止が決定。(新暦111)

1791

    モーツァルト作曲の最後のオペラ『魔笛』が初演

1946

    三井・三菱・安田の3財閥が正式解散を決定。

1975

    昭和天皇・皇后両陛下が史上初めての訪米に出発。

1984

    阪急のブーマー選手が外国人選手初の三冠王

1999

    茨城県東海村の核燃料施設で臨界事故。3人が被曝しうち2人が死亡。

2006

    国産旅客機「YS-11」が最後の旅客飛行

 

 

 

誕生日の有名人

1472

    王陽明 (明の儒学者,陽明学の祖)

1921

    並木路子 (歌手『リンゴの唄』)

1925

    星野哲郎 (作詞家『三百六十五歩のマーチ』)

1932

    五木寛之 (小説家『蒼ざめた馬を見よ』『青春の門』)

1932

    石原慎太郎 (衆議院議員,東京都知事[],参議院議員[],運輸相(59),環境庁長官(8),小説家『太陽の季節』)

1966

    東山紀之 (俳優,歌手(少年隊))

1983

    潮田玲子 (バドミントン)

 

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

富山いづみ <admin@nnh.to>

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)

( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

575筆まか勢)

(俳句のサロン)

    (一般社団法人日本記念日協会)