2019.4.27
一日一季語 幟(のぼり) 【夏―行事―初夏】
山寺の高き石段鯉のぼり 高倉恵美子
*2019.4.18 甲府にて
先日甲府に行った際に訪れたお寺。この句のような景を見ました。
お寺の石段を登った先に見えた鯉のぼり。登ってよかった、この季節ならではの鯉のぼりが出迎えてくれたことに感謝しました。
【傍題季語】
五月幟(さつきのぼり) 座敷幟(ざしきのぼり) 初幟(はつのぼり) 鯉幟(こいのぼり《こひのぼり》) 五月鯉(さつきごい《さつきごひ》) 吹流し(ふきながし) 矢車(やぐるま)
【季語の説明】
江戸時代には、定紋や鍾馗(しようき)の絵を染め抜いた幟を兜・長刀(なぎなた)・吹流しなどとともに家の前に立てた。古くは紙製であったが、これが小さくなって座敷幟となっていった。武家の幟に対して、町人は、滝をも登るとする鯉を出世の象徴として鯉幟を立て、男子の成長を祈った。これもはじめは紙製であり、五色の吹流しとともに立てる。
*2019.4.19栃木市にて
【例句】
鯉のぼり荒神山をゆうゆうと 近藤憙治
からつぽはこんなに自由鯉のぼり 櫂未知子
雨粒を振りほどきをる鯉のぼり 大島雄作
鯉のぼり泳がせ転居完結す 高木嘉久
久慈川を超えて百千鯉のぼり 池田光子
みちのくの生れの父や紙幟 阿波野青畝
ゆくりなく来て長篠の武者幟 能村登四郎
この辺も武田幟を立ててをり 飯島晴子
内幟家どよもして遊ぶ子よ 高田風人子
垂れ下る天一枚を幟とす 三橋敏雄
【鯉のぼりの由来】
かつての武家社会において、お家の跡取りとなる男児の健やかな成長と立身出世を願って飾られた鯉のぼり
由来については、中国の故事「登竜門」が大きく関係しているといいます。
その故事によれば、中国の山奥には「竜門」という大きな滝があり、この滝を登り切った魚は龍になり天を舞うという。
龍になることを夢見て、数多くの魚たちが滝に挑んだがことごとく失敗。そんな中、一匹の鯉が見事に竜門を登り切り、龍となって空へ上っていた。
この故事により、空高く舞う鯉のぼりは立身出世の象徴となり、お家発展を願う武家社会の縁起物として重用されるようになったのだそうです。
【鯉のぼりと時代背景】
江戸時代の鯉のぼりは、嫡男(長男)のために真鯉だけを一旒(りゅう)飾る形式だった。
明治から昭和にかけては、家父長制の下で強い父権を表すために大きい真鯉が父親を表すようになり、小さい緋鯉が子供を表す形式が定着した。
真鯉と緋鯉の組み合わせは、童謡・唱歌『こいのぼり』の歌詞(近藤宮子版)にも描写されています。
戦後になって少し大きい緋鯉が母親・お母さんを表すようになり、青や緑・ピンクなどで子供たち(兄弟姉妹)が表現され、家族全員が揃う形が好まれるようになったそうです。
平成から令和へと、どのような変化があるのか、興味が湧いてきますね。
【今日は何の日】
哲学の日
紀元前399年のこの日、ギリシアの哲学者・ソクラテスが、時の権力者から死刑宣告を受けて、刑の執行として獄中で毒を飲んで亡くなった。
悪妻の日
紀元前399年のこの日に刑死したソクラテスの妻が悪妻として有名であることから。
婦人警官記念日
1946年のこの日、警視庁で日本初の婦人警官62人が勤務に就いた。
帝国図書館開館記念日
世界生命の日
絆の日
ロープデー
主な出来事
599年
『日本書紀』に日本最古の地震の記録。(新暦5月26日)
1180年
伊豆・蛭ヶ小島に流されていた源頼朝が、叔父の行家から以仁王の平家追討令旨を伝えられる。(新暦5月23日)
1333年
倒幕挙兵討伐の為に丹波に入っていた足利尊氏が、後醍醐天皇に応じて倒幕を決意し挙兵。(新暦6月10日
1559年
越後の長尾景虎(後の上杉謙信)が大軍を率いて入京し、将軍足利義輝に謁見。
1810年
ベートーヴェンが『エリーゼのために』を作曲
1940年
ナチス親衛隊指令官ヒムラーがアウシュヴィッツ収容所の建設命令を発令
1941年
ナチスドイツがアテネを占領
1946年
東京警視庁で初めて採用された婦人警官62人が初勤務
1960年
江戸時代末期に焼失したままだった浅草寺の雷門が落成
1978年
日大遠征隊が日本人初の北極点到達に成功
2007年
新丸の内ビルディングが開業
2010年
「刑事訴訟法」等改正により、殺人罪の公訴時効が廃止
誕生日の有名人
1791年
サミュエル・モールス (米:画家,電信機とモールス符号を発明)
1840年
エドワード・ウィンパー (英:登山家,木版画家,マッターホルン初登頂)
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)