パリ・オペラ座バレエ「白鳥の湖」  | マサミのブログ Road to 42.195km

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「世界4大バレエ団」と言ったら…

 

●ボリショイ・バレエ

●マリインスキー・バレエ

●英国ロイヤル・バレエ

●パリ・オペラ座バレエ

 

ということになるのだそうです。パリ・オペラ座は1669年の創立。日本では江戸時代で4代将軍・徳川家綱の頃。松尾芭蕉は25歳でした。バレエ団としての名前は変遷しているようですが、もう350年以上続いてるんですね。

 

私がバレエに興味を持って初心者向けのダイジェスト公演を観たのが2017年ですから、今年で7年目。「パリ・オペラ座」については映画を観たりTVのドキュメンタリー番組を観たり、アーティゾン美術館での美術展を観るなどして、ずっと憧れて来ました。そんなパリ・オペラ座のバレエ団がついに来日した(している)んです!

 

 

「本物の、超一流のバレエが観たい」と思ったら、これ以上のチャンスはありません。チケットはお高いけど、私は奮発してS席を取りましたよ!

 

 

2万7千円…。私が今までいろんなものを観たなかでいちばん高かったのは、フジロックの3日券やサマーソニックの2日券を除くと、ポール・マッカートニー@国技館の4万円でしたけど、それに次ぐお値段でした。でもパリ・オペラ座のバレエなら惜しくなかったです。「自分はこういうものを観るために働いてお金を稼いでいるんだ。これにお金を使わないでどうする!」と思えましたので。

 

というわけで、2/9(金)の夜、ワクワクしながらこちらに↓向かいました。

 

 

上野でバレエといえば…

 

 

はい。何度もお邪魔している東京文化会館。

 

 

東京で一流のバレエ団が公演する場所としては、ここの他に池袋の東京芸術劇場、新宿の新国立劇場、渋谷のオーチャードホールあたりかと思いますが、やっぱりいちばんキラキラしてゴージャスな空気がロビーに満ちているのは東京文化会館のような気がします。開演を待つ間、毛皮のコートをお召しになったマダムが立ったままワイングラスを傾けているのがサマになる場所って、そんなにないですから。

 

また、見るからに「バレエを習っています」という感じのお子さんを連れた方も多いし、今回はパリ・オペラ座の公演ということもあってか、外国人のお客様もたくさんお見えでした。ロビーや通路で、英語でなくフランス語の会話が聴こえてくると「おお~」と思ったりして。恥ずかしいけどそういう興奮もありました。でも、そういう高揚感、ときめきみたいなものも、バレエやオペラを観る楽しみのうちだと思うんです。非日常感ってやつですよね。

 

 

2万7千円の席からの眺めがこちら。2階バルコニーの最前列です。前にさえぎるものが何もなく、気持ち良く観られました。本当を言うと、もう少しステージに近いかなと期待していたんですけど、1階席だと前の人の頭が邪魔になったりしますからね。

 

(写真は公式サイトから)

 

(同)

 

 

私はこれまでに『白鳥の湖』は、キエフ・クラシック・バレエ、シュツットガルト・バレエ、熊川哲也さんのKバレエ、キーウ・クラシック・バレエを観て来ました。ダイジェストの舞台を除くと、今回が5回目になります。私が観た回の主な出演者は、

 

オデット/オディール:パク・セウン(韓国の方です)

ジークフリート王子:ポール・マルク

悪魔ロットバルト/家庭教師ヴォルフガング:ジャック・ガストフ

 

という面々でした。

 

いきなり第一幕の、王子の誕生パーティーの場面で「あれ?この場面はこんなふうだっけ?」と面くらいました。今回の白鳥の湖はルドルフ・ヌレエフが振付をしたバージョンなんですね。今まで私が観てきた「白鳥」とは、細かい演出がところどころでかなり異なっていました。パンフレットを買って解説を先に読んでいたので「そういうことか」と分かりましたが、バレエって振付(演出)によって変わるものだなぁと、あらためて知った次第です。

 

あとは舞台装置。見るからにお金をかけた豪華絢爛な背景では全然ありません。はじめは「え、これだけ?」と思ってしまうほどシンプルな造りでしたが、それがかえって荘厳で神秘的な雰囲気をもたらしているなと感じました。

 

ダンサーさんたちの技術については私は語る資格はありませんが、でもやっぱり「凄い!」と思うシーンはありました。クライマックスの第3幕、オディールのことをオデットと思い込んで舞い上がったジークフリートが踊る歓喜のヴァリエーション(一人だけで踊る場面)、回転しながらジャンプ、ジャンプの連続の場面では空中姿勢が美しくて、まるで空中で一瞬、ふわっと止まっているかのように見えるんです。客席からも「ほう…」というタメ息というか、静かなどよめきが流れました。私には初めての経験でしたよ。そしてあちこちから飛ぶ「ブラボー!」の声。

 

それに続くのは「白鳥」の、というかクラシック・バレエ全体のなかでも一番の見せ場、オディールによる32回の連続回転「グラン・フェッテ・アン・トゥルナール」です。以前このブログでいろんなダンサーさんが踊るこの場面をYouTubeからご紹介しましたよね? かなり経験を積んだダンサーさんでも、さすがに32回も連続で回転すると軸がだんだんブレて来たり、最後は目が回ってグラっとよろけてしまったりする人もいましたが、パク・セウンさんはさすが!素晴らしい安定感で32回をきっちり回っていました。

 

お客さんも「ここが見せ場だ」と良く分かっているから、回転の途中から大きな拍手が湧くし、回転が止まった瞬間に「ブラボー!」「ブラボー!」の掛け声が飛び交っていました。

 

ネタバレを承知で書きますが、ヌレエフ版の「白鳥」では、悪魔ロットバルトと、王子の家庭教師であるヴォルフガングは同一人物という設定なんです。なので、オデット(白鳥)とオディール(黒鳥)が一人二役なのと同じように、ロットバルトとヴォルフガングも同じダンサーが演じます。

他のバレエ団では、王子の友人役とか陽気な道化役なんかが出演する演出もありますが、ヌレエフはとにかくダークな世界を作りたかったようですね。ラストシーンも、後悔に胸を引き裂かれたジークフリートとオデットは悲しい悲しい永遠の別れ。私が去年観たキーウ・クラシック・バレエの「白鳥」では、ラストはジークフリート王子がロットバルトと闘い、片方の羽根をもぎり取ることで「愛の勝利」を表現していたけれど、ヌレエフ版の「白鳥」は逆に悪魔ロットバルトの高笑いで終わります。

 

ロットバルトはどうしてああいう人格?になってしまったのか。以前このブログでも書きましたが、やっぱり今回も考えちゃいましたね。オデットだけでなくたくさんの少女たちを魔法で白鳥の姿に変えてしまい、その上ジークフリート王子には自分の娘であるオディールをオデットそっくりに化かせて王子をたぶらかす。なんでそこまで人を悲しませることが嬉しいんだろう。「悪は滅ぶ。めでたし、めでたし」という終わり方ではなかっただけに、いろんなことが頭のなかでグルグル回りました。

 

でもそれはともかく、素晴らしいものを観られて大満足の夜でした。やっぱり、バレエはいいな。そしてパリ・オペラ座の舞台の素晴らしさ!感歎しかありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<おまけ>

今月はアヴァンギャルディを観て、クイーンズ・オブ・ザ・ストーンエイジを観て、パリ・オペラ座のバレエを観て…と盛りだくさんです。でも次の土曜にはジャズのライブがあるし、来週の土曜にはまたロックのライブがあるんですよね。サッカーも始まるし、忙しいったらありゃしない!しかも東京マラソンの直前だっつうのにアセアセ

 

たまたま今月は見たいものが重なってしまったので仕方ないです。正直、チケット代もかさみますが、かなり以前から予約して振り込みもその時に済ませているので、そんなにはお金がどんどん出て行く実感は無くて済んでいます。好きなもの、観たいものが沢山あるのは幸せだし、それを実際に観に行けるのは本当に幸せですよね。有難いことです。

 

でもさすがに今月はいろいろあり過ぎて大変なので、3月と4月は「チケットを買って観に行くもの」の予定は何も入れていません。我慢するところは、しなくちゃ!笑い泣き