現代陶芸の<今>に触れる  | マサミのブログ Road to 42.195km

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17日(水)はここに↓行きました。

 

もう、この建物の名前を覚えてくださった方も多いかもしれませんね。はい、菊池寛実記念 智美術館(きくちかんじつきねん ともびじゅつかん)です。陶芸作品、つまり「やきもの」専門の美術館。ホテルオークラの隣にあります。

 

 

この美術館では2004年から2年に一度、陶芸作品の公募展を開いています。今年はその10回目。大賞1点、優秀賞1点、奨励賞3点のほか入選作が展示されていました。上のチラシに載っているのが今年の大賞を受賞した、若林和恵さんによる《さやけし》

 

 

では、私が見て「おっ!」と印象に残ったものをご紹介しますね。撮影は許可されていたので、他のお客さんの邪魔にならないよう気をつけて撮って来ました。画像では大きさが伝わらないのが残念ですが、想像しながらご覧ください。(画像を個人のSNSにあげるのはOKとのことでした)

 

 

 

 

宇佐美朱理《土環》 優秀賞受賞作品

 

これ、もしかしたら「湯呑み」ぐらいの大きさに見えますか? でも実物は作品名のように「土管」ぐらいの大きさ、ボリュームがあるんです。このあたりが伝わりづらいですよね。うーん、難しい。絵画なら「何号」と記せば大きさの見当がつくのも知れませんが。

 

 

 

 

飯沼耕市 珊瑚釉《泡》

 

 

 

 

増原嘉央理 《紅白鮮 斜陽-2307-》

 

 

 

 

清水圭一 《丹波 花の器》

 

 

 

 

釣 光穂 《Breeze》 

 

これ、まるで太い糸で編んだカゴみたいでしょう?でも、やきものなんです。色を付けた土を練って延ばして撚って紐のようにして、それをぐるぐるぐるぐる…「成型の途中、自分自身の重みで歪んだ形も良い」と評されていました。

 

 

 

 

金森絵美《gleam black》

 

これも土を練って紐のようにして重ねて成型したんだそうです。今にも3本足でこちらに歩いて来そうな雰囲気。可愛いが7割、不気味が3割かな。でも面白い。部屋の隅に置いといたら、毎朝数センチずつ移動してたりして…(笑)

 

 

 

 

やまわき てるり 《いかりのぱわー ゆるしのぱわー》

 

これも練った土を「きしめん」みたいに平たくしてから折って折って折って折って…それを無限のように続けたんでしょうね。何が作者をそこまで追い込むのか、見れば見るほど興味が湧きます。でも作者も説明できないでしょうね。アートは「説明」しちゃったら面白くないし。

 

 

 

そして今回の展示の中で私がいちばん惹きつけられたのは…

 

 

 

 

 

 

 

波多野亜耶 《帰依》 奨励賞受賞作品

 

これは…いくら観ていても飽きないというか、観るほどに引き込まれていくような感覚がありました。ランダムな形のようでいて一定のリズムがあり、反復される。表かと思うと裏。外かと思うと内。始まりも終わりもない。私はなぜだかすごく「音楽」を感じました。

 

 

 

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展示会場はこんなふう↑(一部です)。いつものように、展示作品をピアノ線で固定したりせず、また大部分はガラスケースにも入れずに、観る人がギリギリまで近づいて観察できます。そしてこの静けさ。ピーンと張りつめた空気が満ちている。一度入場したら何時間いてもOK。ぐるぐる何周するのもアリ。私は今回は3周ぐるぐる回って、最後の4周目で気になった作品を撮影しました。贅沢な時間!

 

上野あたりの大きな美術館でやる、有名な作家の大規模な展示会だと、入ったら一方通行でどんどん歩かされて、出口まで来たら後戻り不可でそこで出なきゃいけない場合も多いのですが(しかも出たところが物販=グッズ売り場で、そこも大行列)、智美術館は作品と鑑賞者の関係が理想的だと思います。素晴らしい。良い時間を過ごせました。

 

 

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今回は、初めて友人を誘って2人で行きました。元・有名な和菓子の老舗で長く工場長を務め、今は現役のボクサーでありアーティストでもある旧友のT君です。彼は和菓子職人だっただけあって、仕事を離れた今も絵を描いたり立体作品を作ったりしています。

しかも和菓子の世界は「茶の湯」と繋がるでしょう?だから彼も表千家の茶道をたしなんでいることもあって、陶磁器には詳しいんですよ。今回みたいなアヴァンギャルドな作品には少し面食らったみたいですが、すごく刺激を受けて楽しかったようです。

 

彼と私は幼稚園~小学校~中学まで一緒でした。その後も定期的に会い、お互いお酒が弱いので「飲まずに、食べながら」延々と語り合うのを楽しみにしています。今回は智美術館から有楽町駅前のジョナサンに移動して、昼の12時半から夕方5時まで、4時間半も!語り合いました。2人で何回ドリンクバーに行ったかなぁ?てへぺろ

 

私は最近やきものの面白さに目覚めて、そうなると必然的に「茶の湯」にも関心が向くじゃないですか。なので今は千利休、古田織部、小堀遠州の3人についての本を買い集めて読んでいるところです。T君はさすがにその方面にも詳しくて、面白い話をたくさん聞かせてくれました。たとえば茶道で「三千家」と言われる「表千家」「裏千家」「武者小路千家」には、それぞれ「その流派でしか出さない(食べない)お菓子がある」のだそうです。

 

T君が働いていた和菓子屋さんにも、お茶会があるとお菓子の注文が来るのですが、流派により、また季節により注文が変わるので、どの流派からどんな注文が来てもそのお菓子を作れる知識と技術が必要なんだそうです。ご存知でしたか? 私はこの歳になって初めて知りましたよ。うーむ。深いなぁ! そして面白い!

 

 

 

 

 

 

多治見で3泊した「やきものの旅」のレポートがなかなか書けませんが、来週にはまとめようと思っています。お楽しみに。